47号 2016(平成28年)10月

「雅楽だより」47号(2016年10月号)

目次

● 笙の美学的研究
古代「和」と称していた笙 鳳凰の囀りとその彩を考える
崔涛・陈 梦晨
笙の創られた神話やその歴史、そして笙の美学をつづる

● 日本音楽プログラム始動
コロンビア大学 バーバラ・ルーシュ / 青木健
コロンビア大学での雅楽への取組の動機とその経過、そして今後の課題も語られる
● 笙の和音的解明  芝祐泰
笙の音の配列の楽理的根拠についての記述
● 現代語訳『楽家録』
「三管総論」より「渡し物の楽曲を相渡す方法」「諸楽器が揃わずに楽を奏する方法」
●情報欄
10月から来年1月までの各地での演奏会などの情報
●新刊など
☆『雅楽の心性・精神性と理想的空間』東儀道子著
雅楽の歴史を繙きつつ、新たな時代の雅楽を模索した力作。
雅楽の奥深さを感じる書。
序 章 1 研究の動機と主題 ー雅楽の危機を超えるために
第1章 演奏空間(場)から 心性・精神性を観る
第2章 経典に見る音楽の心性・精神性 ー 雅楽の源泉
第3章 節会・饗宴・御遊びにおける心性 ー自然と人間の共通の心性
第4章 自然との共奏を可能にした  人工と自然の音楽空間ー庭屋一如
第5章 曲名に現れた心性・精神性
第6章 理想的雅楽空間へ向けて
終 章 日本雅楽の心性・精神性の再興のために
3800円+税 A5判  309ページ
発行 北樹出版 ℡03-3715-1525

☆ 『箜篌の研究』中安真理著
浄土では自然と音楽が湧きおこり、仏の功徳を謳っている――
寺院においてその音楽を象徴したのが、建築物に飾られた楽器である。
長く仏教建築を荘厳しながらも今では廃れてしまった絃楽器「箜篌(くご)」。
日本において仏塔や仏堂の屋根の軒下に吊られていたその姿は、これまで知られていた正倉院の箜篌とはまったく異なるかたちであった。
早くに消えていった演奏用の箜篌とは異なり、奈良時代から明治にいたる長期間、仏教建築を荘厳し続けた「箜篌」が、いままさに忘れられつつある。
中国・日本の文献と95点の挿図、考古学の調査結果といった豊富な資料から、その実態を実証していく基礎研究。
6000円(税別)A5版 265ページ
発行 思文閣出版 ℡075-533-6860