この15年間の篳篥用ヨシをめぐって

雅楽だより 61号 62号より抜粋 「雅楽だより」編集担当 鈴木治夫

目次

はじめに

(1)1971年の淀川河川工事により 篳篥用ヨシの質が低下し始めた。

(2)国土交通省河川事務所・淀川環境委員会などの取組
ヨシを増やすためにとられた方策だが

(3)新名神高速道路の着工とNEXCO西日本・「鵜殿ヨシ原の検討会」の結論

(4)水域のヨシと陸域のヨシ  篳篥用ヨシは陸域のヨシ

(5) 特別管理産業廃棄物の焼却炉の建設  建設反対運動により撤回させる

(6) 年々質は悪くなり本数も減っていく

(7)篳篥用ヨシの復活を目指して  つる草などの雑草の退治へ

はじめに

今から15年前の2005年、大阪楽所の中川英男さんから「篳篥の蘆舌のヨシが危ないから記事にして多くの人に知らせてください」という連絡があり現地を取材し「雅楽だより」第2号で、「篳篥のリードのヨシの質が落ち、本数も少なくなった」と上牧・鵜殿ヨシ原の報告記事を書きました。 それから15年余りたちましたが、現在は当時よりさらに篳篥用ヨシの質も落ち、本数も極端に少なくなり、今もなお絶滅してしまうのではないかと言われるようになっています。

私は植物については全くの素人で詳しいことは分かりませんが、この15年余り篳篥用ヨシについて現地を取材し、地元の方々の話を聞いたことなど、この15年余りの篳篥用のヨシをめぐる動きをまとめてみました。

その中から分かった事は、ヨシに関わり始めた頃に私が「ヨシを増やしていけば、その中から篳篥用ヨシも増えていくだろう」と思っていたことは間違いだったということでした。

ヨシを増やすために水を流しても、増えたヨシは篳篥用のヨシにはならない。反対に水を増やすことは篳篥用ヨシの生育を妨げてしまうということでした。私自身のこの間違いを認めていかないと次には進めませんし、篳篥用ヨシを次の世代へ引き継いでいくことも出来ないという想いに至りました。

なんとか篳篥用ヨシを次の世代へもつなげて行けるようにとの思いを込めて、以下にこの15年余りの動きを簡単に振り返り書いてみました。誤りの点もあるかもしれません。お教えください。ただ篳篥用ヨシを増やしていくためのたたき台になればと思うのみです。

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