2013年から年を追って篳篥用ヨシの様子を簡単に振り返ってみます。
〇2013年9月15日 台風18号の影響でヨシ原が冠水しました。(「雅楽だより」36号2014年1月)
ヨシ原の冠水は29年ぶり、上流の養分が流れて篳篥用ヨシの生育が良くなるかもしれないと思いました。しかし、願望とは真逆で年々つる草が生い茂り、篳篥用ヨシの質は悪くなり本数も減っていきました。
〇2014年2月23日 ヨシ原焼きが行われました。(「雅楽だより」37号 2014 この年は「篳篥に適したヨシがものすごく少なく、採取する方々はとても苦労された」といいます。 (「雅楽だより」41号 2015年4月)
また、ヨシ原の下流側・鵜殿地区では篳篥用ヨシは採取出来なくなり、上流側・上牧地
区で初めて採取を行いました。鵜殿地区で採取していた方は「細々とやってきたのに下流
側・鵜殿地区の篳篥用ヨシは壊滅状態だ」と話されました。
(「読売新聞」2014年7月9日)
〇2015年2月22日、ヨシ原焼きは点火後にすぐに雨が降り出し中止となりました。
この年のヨシは「質が悪い。シミだらけで肝心なところに葉が残り、青いままでしわが
寄っている」と上牧地区で採取されている木村和男さんは話されました。(「雅楽だより」45号2016年4月)
〇2016年2月のヨシ原焼きは、順延日も雨で中止。昨年と2年連続でヨシ原焼きが中
止となりました。4月10日 ヨシ原のつる草抜きが39名のボランティアの方々により行
われました。
11月 ヨシ原は「つる草がはびこり、ヨシにからまり付きいたるところでヨシを押し倒している」と、その写真を「雅楽だより」に掲載(「雅楽だより」48号2017年1月 12頁写真)
〇2017年 ヨシ原焼きは2月26日に実施されました。
10月22日 台風によりヨシ原は冠水しました。
11月「篳篥用ヨシを採取しているどの箇所もつる草が去年よりももっとひどい。いつも篳篥用ヨシの生えているところもつる草がヨシにからまり付いて今年は生えていない。篳篥用ヨシが何本採れるかとても心配です」と木村さんは話されました。(「雅楽だより」52号2018年1月)
この年からNEXCO西日本は、調査区域を指定して毎月1回程度定期的に専門業者に依頼してつる草などを除去する方法を始め、現在も続けられています。この調査区域はなんとかつる草を除去できています。(「雅楽だより」52号2018年1月、60号2020年1月)
〇2018年2月25日 ヨシ原焼きは無事に行われました。
「篳篥用ヨシは昨年に比べるとさらに減っている」(「雅楽だより」56号2019年1月)
「篳篥用ヨシは、昨年(2017年)より少ないのは確実。今まで採れていたところでも生
えていなかったり、昨年の台風の風で倒されたり、途中から折れているヨシが多い」(「雅楽だより」56号2019年1月)
「手をこまねいていてはヨシの絶滅を黙ってみているだけになってしまう。つる草の生
い茂っている個所のつる草を種の落とす前に全て刈り取る方法が今できる最善の方法
ではないか」と木村さんは話されました。(「雅楽だより」56号2019年1月)
〇2019年1月28日 篳篥用ヨシの復活を目指して河川財団(公益社団法人)を中心
に上牧実行組合、鵜殿ヨシ原保存会、高槻市、植物専門の研究者を交えて情報交換会が開
催され、そこでつる草を退治する3つの方法が提案されました。(「雅楽だより」57号2
019年4月)
2月17日 ヨシ原焼きが予定より1週間早めて行われました。「ヨシは乾燥していて良く燃えた」とのことです。
3月 つる草や雑草などの除去の為に試験的に木材チップが5m四方に20㎝の厚さで敷かれた。
11月 木材チップの敷かれた箇所は、チップを敷かない箇所に比べるとつる草や雑草は少ないが、周りからつる草などが忍び込む。また木材チップは時間の経過とともに土に還るので数年後はつる草や雑草などが一層繁茂するため木材チップを敷いての対応は難しいとのこと。(「雅楽だより」60号2020年1月)