『ヨシ原通信』No.32(2022年5月1日(日))

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『ヨシ原通信』No.32(2022年5月1日(日))
発行 雅楽協議会 ヨシ対策室事務局(担当 鈴木治夫)

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[1] 5月の予定
[2] ヨシの不思議と神秘⓵
[3] 寄付のお願い
[4] 問合せ先

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[1] 5月の予定

4月の「つる草抜き」は順調に作業を進めることが出来ました。1番心配していましたカナムグラはほとんど抜くことが出来たのではないかと思われます。ヨシは1日平均10㎝余りも伸びていきました。2週間で1m50㎝から1m80㎝余りにもなりました。5月に入ると3m余りに伸びるのだそうです。

5月の作業は、見落としなどで抜くことが出来なかったカナムグラやヤブガラシなどがヨシにからまり付いているのを剪定鋏などで根元の方を切っていくことになるそうです。

4月はヨシの背も低く作業しやすかったのですが、5月になるとヨシも伸びていきますので、作業も難しくなりますが、4月ほど多くの人の手は必要とはしないのではないかとのことです。ですので、作業の人数を1日10名以下程度にして進めてみましょう、となりました。

そこで、4月に作業頂いた方を中心に準備をし、作業の進み具合を見ながら変更すべき所は変更していくことにしました。ご理解とご協力をよろしくお願いいたします。

5月の作業日程は下記を予定しています。

5月前半の作業日

5月16日(月) 17日(火) 18日(水) (雨の場合は順延)

5月後半の作業日

5月24日(火) 25日(水) 26日(木) (雨の場合は順延)

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[2] ヨシの不思議と神秘 ①

上牧・鵜殿ヨシ原で2週間過ごしました。その中で感じたこと、不思議に思ったこと、葦牙の神秘について記録しておこうと思います。

まず、何故ヨシ原で過ごしたかというと、昨年の秋、9月初旬に上牧実行組合の木村和男さんから「篳篥用のヨシがつる草に押し倒されて全滅ですよ」という連絡を受けて、とても驚き、そして頭をよぎったのは「もしこのまま誰も手を付けないとしたら、雅楽を伝承していくことが出来なくなる」との思いでした。「何とかしなくては」といろいろと調べ、考え、多くの人から教えていただいて、寄付を呼びかけ、最善と思う方法を多くの皆さまのご協力とご支援を受けながら取り組んでいきました。4月の2週間で予想以上に順調に「つる草など」を抜くことが出来たと思います。

1

写真 つる草に倒されて全滅のヨシ原

このヨシを何とか再生させたいと「ヨシ原焼き」と「つる草抜き」に取り組みました。

2写真 葦牙(あしかび) 『古事記』『日本書紀』では葦牙が神様になるのです。

『古事記』に「葦牙(あしかび)の如く萌え騰(あが)る物に寄りて成れる神の名はウマシアシカビコヂノカミ(神)」とあります。『古事記』の中で最初に出てくる植物は葦でした。植物から神様が生まれたと書いてあります。解釈はいろいろとあるようですが、葦(ヨシの若芽=葦牙)から神が生まれ、葦は神にも例えられるような尊いものであったことは確かのようです。『日本書紀』には「葦牙が人となった」(『日本書紀 全現代語訳』講談社文庫17頁)とも記されています。

なぜ葦が『古事記』に登場するのかと調べてみると、だいたい下記の2点があげられています。

1つは、葦の生命力の強さ、2つ目は水を浄化する力をあげています。

葦の生命力については、いろいろと聞いていました。「ヨシの生命力は強い、簡単には死なない」と、確かに40年以上前から「上牧・鵜殿のヨシ原のヨシが悪くなった」「絶滅に瀕するヨシ原」(高槻公害問題研究会『鵜殿のヨシ原特集号1』1981年発行 9頁、33頁)と言われて、40年もの年月を生きながらえてきましたし、成長の早さは2週間の滞在で目の当たりにしました。昔の人もその生命力に感歎したのだろうと思います。

2つ目は、水を浄化する力があるということ。茎につく微生物によって汚れを分解し、水中の窒素・リンを吸収することによって水を綺麗にする。葦の生えているところは、汚れた水もきれいになるのですから魚も寄ってきますでしょうし、昔の人は不思議な力だと思ったのだと思います。そのような事から、葦には邪気を払う力があるとも考えられていたようです。

この二つについては、以前どこかで聞いたような、読んだような気がしていたので特段驚くことではありませんでした。

ところがヨシの話を平安雅楽会の方と話している時に「葦は、鉄も作りますよ」と資料(葉室頼昭著『神道 いのちを伝える』)を示して教えてくださいました。「ほんとかな?」と。植物の葦と鉄がどこで繋がるのか不思議でした。さっそく鉄の歴史を調べました。するとこれが事実だったのです。驚きました。鉄で作った鍬(くわ)や鋤(すき)があるとお米をたくさん作ることが出来ます。葦と稲と鉄は結びついていたのでした。

葦(あし=ヨシ)の話はどこまで深まるのだろうか。(つづく)

3

遠くに見えるのは天王山

上牧・鵜殿のヨシ原には、『古事記』の時代、いやそれ以前からの歴史が目の前の景色として残っています。

この歴史が今を支えています。この場に立って見ると実感します。

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[3] 寄付のお願い

「つる草抜き」の活動を続けていくための寄付をお願いしています。
どうぞよろしくお願いいたします。

寄付振込先
●郵便局は

郵便振込用紙に「ヨシへ寄付」と記入頂き
[口座番号]00140‐5‐614032
[加入者名]雅楽協議会

●銀行は

三井住友銀行 田無支店
普通 4012320
雅楽協議会 鈴木治夫

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[4] 問合せ先・連絡先

メール gagakudayori@yahoo.co.jp
℡ 090-1538-1693 携帯に変更になっています。
雅楽協議会 http://gagaku-kyougikai.com

発行 雅楽協議会 ヨシ対策室事務局 担当 鈴木治夫

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