『ヨシ原通信』No.59(2022年7月9日(土))

◆─◆◇◆◇◆◇◆◇◆───

『ヨシ原通信』No.59(2022年7月9日(土)
発行 雅楽協議会 ヨシ対策室事務局(担当 鈴木治夫)

篳篥を吹く源博雅(『陰陽師 玉手匣 2』より)

image001

ⓒReiko Okano

──ー◆◇◆◇◆◇◆◇─◆─

[1] 「つる草抜き」を中心に 7月の予定
[2] 高師小僧 が手元に
[3] 『ヨシ原通信』バックナンバー
[4] 寄付のお願い
[5] 問合せ先

 

▼────────────────

[1] 「つる草抜き」を中心に

「さらに伸びている」ヤブガラシ

7月の「つる草抜き」は、7月11日(月)、13日(水)、15日(金)、予備16日(土)の4日間を予定しました。
朝8時より11時までの3時間 (暑いので、開始時間を早めています)
★集合場所 28-Aの前 (暑いので木陰のできる場所にしました。今までの受付場所(11⁻A)よりさらに200mほど進んだところです。)

7月は暑いので熱中症に注意しながら、慣れている方、様子の分かっている方を中心にして作業を進める予定です。
7月の「つる草抜き」は、ヨシが「つる草」(ヤブガラシ)に押し倒されないようにヤブガラシの除去が主な目的です。7月6日に上牧のヨシ原に調査に入られた方より「7月1日よりさらに「つる草」などが伸びています」と連絡を頂きました。
ヤブガラシという名前は「藪を枯らすほどの繁殖力がある」ことに由来しているとのことで、とても厄介なつる草だそうです。地下茎なので抜いても、抜いてもまた生えてきますね。
これまでカナムグラ(鉄葎)、ヤブガラシ(藪枯)、ヒルガオ(昼顔)の3種類のつる草が一緒になってヨシに絡みついて押し倒して行くことは、昨年までたくさん見てきました。特にカナムグラ(鉄葎)は、トゲを持ってヨシにからまり付き強い力でヨシを押し倒して行きました。

せっかくここまでヨシの再生に向けて取り組んできましたので、なんとしても成功させたいと思っています。皆様のご協力をお願いいたします。

image003

背の高いヨシは5m余りに伸びているのではないかと思います。(7月1日、27-Aの付近)

image005ヨシにからまり付いたヤブガラシ(藪枯)

カナムグラ(鉄葎)は、茎が直接ヨシに巻き付きますが、ヤブガラシ(藪枯)は茎から伸びた触手(?)がヨシを掴んでいきます。カナムグラ(鉄葎)とヤブガラシ(藪枯)とは、ヨシへのからまり付き方が異なるのですね。

▼────────────────

 

 

 

 

[2] 高師小僧 が手元に

以前『ヨシ原通信』32号、33号に「ヨシ(葦)の下には鉄ができる」と書きました。初めは疑いましたが、調べていくと本当らしい。
『古事記』にイザナミノミコトが火の神を産んで、それがもとで死んでいくという話がある。この話は「鉄の文化の移り変わりを述べている」との説もある。(葉室頼昭『神道 いのち を伝える』)
『古事記』の時代、ヨシ(葦)の下にできる褐鉄鉱(かってっこう)から鉄を作っていた。葦原が豊かであれば鉄がたくさん採れる。お米を作る木の鍬から、鉄の鍬(くわ)や鋤(すき)に変わっていく。お米はさらに沢山採れる。こんなことが『古事記』から読み取れるという。
このヨシの下にできる褐鉄鉱を現在は、高師小僧(たかしこぞう)という。
何故かというと愛知県豊橋市付近の高師原台地で採れたからだそうで、学会でも通用されるようになり一般化したようです。童のような形のものもあったので小僧がついて「高師小僧」となったと。ヨシ(葦)の不思議を考えるには、高師小僧を実際に見てみたいと思い調べてみました。すると天然記念物に指定されてもいました。

高師小僧が天然記念物に指定されているのは下記です。

国の天然記念物に指定は2か所、⓵北海道名寄市で採取された名寄高師小僧と、②滋賀県日野町の別所高師の高師小僧。県の天然記念物としては1か所、愛知県豊橋市の高師小僧。市の天然記念物としては1か所、山梨県韮崎市の釜無川右岸の高師小僧です。天然記念物しての高師小僧は手にできないですが、指定以外の高師小僧は手にすることが出来るのです。ということで、私の手元にあるのは、京都府八幡市 木津川沿いで採れたものです。上牧のヨシ原の近くで採れたものです。

ヨシ(葦)はこのように鉄も生み出すのですね。不思議ですね。なぜこのようなものができるのか、未だ解明されていないようです。
この私の手元に来た高師小僧からも鉄にできるだろうか。

image007

ヨシ(葦)の周りにつくられる褐鉄鉱(高師小僧) 長さ約13㎝ 直径約2㎝
なぜこれができるのか、解明されていないという。

『古事記』の時代 これから鉄の鍬を作り米の生産をあげたという。
真ん中の穴は、ヨシの茎の跡だそうだ。ヨシは枯れて無くなった。

image009

▼────────────────

[3] 『ヨシ原通信』バックナンバー

『ヨシ原通信』のバックナンバーは、下記より読むことが出来ます。
http://gagaku-kyougikai.com/?p=684

▼────────────────

[4] 寄付のお願い

「つる草抜き」の活動を続けていくための寄付をお願いしています。どうぞよろしくお願いいたします。

寄付振込先
●郵便局は
郵便振込用紙に「ヨシへ寄付」と記入頂き
[口座番号]00140‐5‐614032
[加入者名]雅楽協議会

●銀行は
三井住友銀行 田無支店
普通 4012320
雅楽協議会 鈴木治夫

▼────────────────

[5] 問合せ先・連絡先

メール gagakudayori@yahoo.co.jp
℡ 090-1538-1693 携帯に変更になっています。
雅楽協議会 http://gagaku-kyougikai.com

発行 雅楽協議会 ヨシ対策室事務局 担当 鈴木治夫

▼────────────────

カテゴリー: ヨシ原通信 パーマリンク