『ヨシ原通信』No.118 2022年11月10日(木)

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『ヨシ原通信』No.118 2022年11月10日(木)
発行 雅楽協議会 ヨシ対策室事務局(担当 鈴木治夫)

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篳篥を吹く源博雅(『陰陽師 玉手匣 2』より)
ⓒReiko Okano

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[1] 振り返り-10
[2]「まとめの会」を開きます。11月18日(金)午後1時30分 上牧公民館
[3]「ヨシ原の今後を考えるシンポジュウム」12月3日、4日
[4] 篳篥の不思議と神秘-9
[5]『ヨシ原通信』バックナンバー
[6] 寄付のお願い
[7] 問合せ先

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[1] 振り返り-10

ヨシ原で出会った植物たち

ヨシ原には貴重な植物、動物が暮らしていることは聞いていましたが、直接目の前にして写真が撮れるとは思っていませんでした。「つる草抜き」をしたからこそ出会えたようです。やはり感慨深いです。

植物の名前などは、いろいろな方に教えていただきました。本当にありがとうございます。

●ノウルシ 準絶滅危惧種 (3月29日撮影)

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透き通った黄色い花の様に見えます。黄色の部分は花ではなく「杯状花序(はいじょうかじょ)」というものだそうです。

●ヨシとオギの断面 5月23日撮影『ヨシ原通信』№43(22.5.23)

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左側-ヨシ(葦)と右側-オギ(荻)の断面 参考に掲載します。断面は全く異なります。

●ヒルガオ(昼顔)  7月10日撮影

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芽が出てきたときはツルも細くて、可憐な花を咲かせるのですが、そのままにしておくとツルも太くなりヨシにからまり付き、カナムグラやヤブガラシと共にヨシを押し倒しにかかります。1mに育つ前に抜き取らないと後が大変です。あなどれません。

この昼顔 古来より日本人の間で親しまれていて、平安時代には、「波夜比止久佐(ハヤヒトグサ)」という名前で呼ばれて、万葉集のなかに「高円(たかまと)の野辺の容花(かほばな)面影に見えつつ妹は忘れかねつも」という歌があり、この「かほばな」というのが、当時の昼顔(ヒルガオ)の名前だそうです。また、松尾芭蕉は 「鼓子花(ひるがほ)の 短夜眠(ねぶる) 昼間哉」と詠んでいるそうです。

●キツネノカミソリ(狐の剃刀) 8月8日撮影 『ヨシ原通信』№79(22.8.8)

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とても珍しい花で東京都や和歌山県などは絶滅危惧種に指定されています。

「今までは咲かなかったけれど「つる草抜き」で少し日が差して花を咲かせたのでは」とお聞きしました。8月末まで咲いていました。

●ナンバンギゼル(南蛮煙管)  8月25日撮影『ヨシ原通信』№89(22.8.25)

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奈良時代の『万葉集』にナンバンギセルには登場し、「道の辺(へ)の 尾花(をばな)が下の 思ひ草 今さらさらに 何をか思はむ」と詠まれ、意味は「道端の尾花(をばな)の元に咲いている思ひ草のように、いまさら何を思い悩んだりしましょうか」と。『万葉集』の時代から咲いている花なのですね。

そしてこのナンバンギセルは寄生植物で、自ら栄養を作ることをしないで、他の植物に根っこを張ってその寄生する植物の栄養をもらって生きているそうです。

(万葉集写真BOTANICA ホームページより)

●コウヤワラビ(高野蕨)  8月25日撮影

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湿地に生えるシダ植物 名は高野山に由来しているが、実際には高野山では見つかっていないという。

●キノコ類 8月25、26日撮影

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キノコも調べてみるととても大切な役目をしているのですね。キノコには腐生菌(ふせいきん)と菌根菌(きんこんきん)とがあり、腐生菌は落ち葉や倒木などを土に還していく働きがあり、菌根菌はチッソやリン、カリウムなどを他の植物に届けるそうです。キノコは生態系における循環システムの維持に役立ち、腐生菌独特の役割もあるといいます。菌根菌は植物が単独で生きるよりも多くの栄養分を与え、根っこが菌糸に覆われることで、植物は乾燥や病害に対する抵抗が高まるそうです。

キノコが沢山生えてくるところは、土も植物も循環しながら生きていることの証でもあるのですね。

オオヒラタシデムシは腐乱したものを食べて分解してくれる虫で自然の循環を支えている生命に欠かせない重要な虫ですが、キノコも同じような機能をもつているのでしょう。

オオヒラタシデムシ(『ヨシ原通信』№81 22.8.10)

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●「花 Flower」 という動画  1分35秒

「いのちは私(花)から始まる」 考えてみるとそうでした。

ルピタ・ニョンゴ/ Nature Is Speaking 「花 / Flower」 – YouTube
「自然は人間を必要としない。人間には自然が必要」

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[2]「まとめの会」を開きます。

11月18日(金)午後1時30分 上牧公民館

「つる草抜き」初年の「まとめの会」を開きます。
来年の「つる草抜き」に向けて、良かった事、改善したほうが良い事、などなど情報を共有するとともに意見を出し合う会です。
多くの皆さまの参加をお待ちしています。

『上牧・鵜殿ヨシ原の篳篥用ヨシの再生に向けた取り組み 中間報告』(A4 20p)にまとめてあります。下記よりダウンロードするとどなたでも読むことが出来ます。
https://drive.google.com/drive/folders/1M4MpYYxGF_GAdzrpjayvbI6BEw6zO8YX

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[3] ヨシ原の今後を考えるシンポジュウム

ヨシ原の「千年の歴史の終焉をどのように回避するのか、について考えを深め、意見交流をし、今後の動きにつなげてゆきたい」と下記の内容のシンポジュウムが開かれます。
多くの皆さんと共に考えていきたいと思います。

【淀川河岸・三川合流地帯のヨシ原から考える社会生態史学の試み】

【1日目】
12月3日(土)午後1時30分~
会場 国際日本文化研究センター(京都市西京区)

ご挨拶:劉建輝(国際日本文化研究センター教授)
伊藤謙(大阪大学総合学術博物館講師・科研代表)

司会:深尾葉子(大阪大学人文学研究科教授)

発言者(敬称略)
〇鈴木治夫〇木村和男〇綾史郎〇田口圭介〇三好龍孝
座談会・懇談会

【2日目】
12月4日(日) 午前10時~
本澄寺にて お話 〇高田みちよ ヨシ原へ 午後 雅楽演奏
安満遺跡公園へ移動。遺跡見学 総合討論 会食有

【問合せ・お申込み先】
参加申し込み等の連絡先 深尾研究室 fukaoken@outlook.jp(担当:谷俊作)
★可能な方は以下のグーグルフォームを使ってお申込みください。のちほど事務局からご連絡差し上げます。https://forms.gle/2jezoXB9Vx3iBgFj9

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[4] 篳篥の不思議と神秘-9

東大寺 開眼供養で雅楽が盛大に

東大寺が完成した天平勝宝4年(752)4月10日 中庭で前回紹介した婆羅門僧正菩提僊那が導師となり、金色に輝いた大仏開眼の大筆を執りました。そして次に雅楽寮、大安寺、薬師寺、元興寺、興福寺などの楽人、舞人が次々と舞楽の演奏が続きます。大歌舞30人、久米舞40人、盾伏舞30人、伎楽60人、唐散楽100人、女踏歌120人、跳子100名、合計すると雅楽の出演者だけで480名余り、奏された舞楽は16曲余り、大仏の前で1日中雅楽が演奏され、いかに盛大に行われたかが分かります。

(『東大寺要録』図書刊行会 47p)

大仏殿の前に舞台を組み日本古来の舞、大陸や朝鮮半島から伝えられた舞が舞われました。

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(写真『古代シルクロードの音楽』岸辺成雄 35pより)

奈良時代にこんなにも多く雅楽の演奏者が居たのかと疑うほどですが、701年の大宝令によって国家の機関(治部省)の中に設置された雅楽寮(うたづかさ)の内容を見ると納得できるのです。
雅楽寮にはそれぞれ先生と生徒を含めて、日本の舞や歌、笛に254人、唐の音楽に72人、高麗楽・百済楽・新羅楽に72人、などがおり合計すると400名を超えるのです。

(『令義解』「国史大系」第22巻 職員令40p)

唐、高麗、新羅、百済などの教習は海外から指導者を招いて大陸の文化を学んでいたのです。その頃伝えられた楽器などは正倉院に残されています。篳篥は残念ながら正倉院には残されていないのですが、『西大寺資材帳』に篳篥の記載があるので、日本にも伝えられていたことが分かっています。またこの頃の篳篥の蘆舌は、唐で使用されていたものがそのまま使用されていたはずですからダンチクであることに間違いはないでしょう。

奈良の平城京から京都の平安京に移り、平安時代になると日本の独自の文化が芽生えていきます。

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[5]『ヨシ原通信』バックナンバー

『ヨシ原通信』を拡散していただけるとありがたいです。
『ヨシ原通信』のバックナンバーは、下記より読むことが出来ます。
http://gagaku-kyougikai.com/?p=684

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[6] 寄付のお願い

「つる草抜き」の活動を続けていくための寄付をお願いしています。どうぞよろしくお願いいたします。

寄付振込先
●郵便局は
郵便振込用紙に「ヨシへ寄付」と記入頂き
[口座番号]00140‐5‐614032
[加入者名]雅楽協議会

●銀行は
三井住友銀行 田無支店
普通 4012320
雅楽協議会 鈴木治夫

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[7] 問合せ先・連絡先

メール gagakudayori@yahoo.co.jp
℡042-451-8898 ℡090-1538-1693
雅楽協議会 http://gagaku-kyougikai.com

発行 雅楽協議会 ヨシ対策室事務局 担当 鈴木治夫

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