『ヨシ原通信』No.227 2023年8月12日(土)

─◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆───
『ヨシ原通信』No.227 2023年8月12日(土)
─◆─◇◆◇◆◇◆◇─◆─

[1] 8月、9月の「つる草抜き」
[2] 中間報告会より-3 導水路の調査、資料
[3]「つる草抜き」予定
[4] 寄付のお願い
[5]『ヨシ原通信』バックナンバー
[6] 問合せ先

▼───────────────

[1] 8月、9月の「つる草抜き」

第8クール 8月21日(月)~8月24日(木)  午前8時~午前11時
第9クール 9月11日(月)~9月14日(木)  午前8時~午前11時
天候、作業の進行具合により変更・追加などあります。

2年目の今年も、第1クール(3月27日~)から第7クールまで(同じエリアを7回に渡り「つる草抜き」を)行いました。
この暑さを乗り切って、秋になると「つる草」の成長も一段落で、ヨシを押し倒すことも無くなりましょう。それまであと少しです。
お盆を過ぎて第8クール(8月21日~24日)と、お彼岸の前に第9クール(9月11日~)を予定しています。

今年は昨年の1.8倍の面積(約7000㎡)の「つる草」を抜いています。珍しい花も咲いています。つばめの塒入りも「つる草抜き」エリアでも見ることが出来るようになりました。
暑いさなかで、お忙しいこととは思いますが、雅楽の文化の伝承の活動が生命の共存につながる「つる草抜き」にご参加いただけますようお願いいたします。
多くの方のご参加をお待ちしています。寄付もお願いいたします。

image001

ヨシから穂が出ました。(2023.7.30)

 

image003渡り鳥、オオヨシキリの巣 卵は巣立って南へ旅立って行きました。(2023.7.31)
つばめの子ども。ここを巣立つとヨシ原などを塒(ねぐら)にします。

image005

「つる草抜き」エリアも2万羽を超すつばめがねぐらにしています(2023.7.31)
そして海を渡り南に飛んでいきます。

image007

ハグロトンボ。神様とんぼ・仏トンボとも呼ばれます。
拝むように羽を動かします。今年はみんなを守るかの如く休憩所にいます。(2023.7.31)

image009

メハジキ。益母草(やくもそう) 効能が注目され古くから人間を助けてきた草。(2023.7.30)

▼───────────────

[2] 中間報告会より-3

綾史郎氏(元淀川環境委員、大阪工業大学名誉教授) より当日配布された4枚を掲載します。

資料の1

———————————- ここより以下 転載 —————————

2023年7月28日

2023年4月から7月初の鵜殿導水路への揚水と導水状況について(仮続報1)

綾 史郎

はじめに

7月12日付で本報告(概略速報)を提出した。概略速報版ではポンプの稼働状況に応じて期間を分け、各々の期間の観測の詳細に触れることなく、導水路の導水状況の概略と特徴について記した。概略速報版では揚水ポンプ1台が角落しなしで稼働していた(5)6月5日~6月25日、(6)7月4日~7月12日について、(5)6月5日(月)ポンプによる揚水が再開された。今回は上流側のポンプ1台角落しなしの状況とのことであった。これにより、分派するB導水路への導水の到達、また、第4土堤上流部右岸堤を越流する流れはなくなり、導水は第4土堤まで、第4土堤下流左岸低地への配水はなくなった。(6)ポンプ1台の稼働が(7月以降も)継続されることとなった。しかし、直近(7月4日)の観察では(5)で示されたような導水状況にはなく、第2土堤と第3渡りの間までしか導水は達しておらず、また、導水路内の水位も十分高いとは言えず、導水路外への配水面積も減少することが容易に予測される。

本報告では、2023年6月および7月の高浜水位観測所における淀川水位の状況をまとめた。(5)6月5日~6月25日、(6)7月4日~7月12日および12日以降の7月18日までの9回(9日)の各観測日毎の導水の観測の詳細について記した。

この期間のヨシ、カナムグラ、ヤブガラシなどの植生の推移と導水(揚水量)との関係等については後日、別報告する。

結果の概要

2023年6月5日から7月18日までの期間、植生の再繁茂による歩行困難、梅雨時期であり降雨による観測の中止等により観測が十分に行われなかった日もあったが、合計9回(10日)の導水路の通水状況観測を行った。その結果、図‐3に示されるように10日のうち、(1)水路末端第4土堤4まで達していたのが6月6日、6月8日、(2)第3土堤を過ぎてなくなった(第4土堤には達していない)のが6月15日、19・20日、(3)第3渡りまで水が達していない日が7月4日、12日、(4)7月14日、7月18日には第3渡りでの通水は確認できたが、第3土堤までの通水は確認できなかった。(5) 7月27日には第3渡りでの路床は既に乾燥しており、通水は無かった。

ポンプの稼働状況が同じなのに通水状況は大きく異なっており、図-1(a)、(b)に示される淀川本川(高浜量水標)水位との関係を考察することが必要である。

資料-2の図1

image011

資料-2の図2・図3

image013

資料-3

2023年6月30日

淀川河川事務所長殿

中干しと称する鵜殿導水路の夏季運用停止計画の中止と導水の継続の要望

元淀川環境委員、大阪工業大学名誉教授 綾 史郎

鵜殿ヨシ原内の導水路では2023年4月3日以降、一時的な停止はありましたが、ポンプ揚水による導水および周辺ヨシ原への配水が継続して行われ、近年稀なヨシの生育が観察され、大変嬉しく存じ、また、淀川河川事務所の努力に敬意を表します。

仄聞するところによりますと7月以降、中干しと称する導水の停止が予定されているそうですが、その計画(理由、目的、期間等)がよく分かりませんので計画を明らかにして下さい。また、以下に述べるようにヨシの生育の為には導水の継続が必要と思われますので、中干し計画の中止と導水の継続を要望します。

1. 従来から鵜殿ヨシ原で中干しが行われてきていますが、その効果、すなわち、ヨシの生育にとって、どのような効果を期待し、また効果があったのか、検証結果を提示して下さい。稲作においては土用干し/中干しと称する、分げつ期終了後から幼穂形成期までの間、水田への灌漑を止め、土壌を乾燥させることが重要な農作業として行われます。そのことにより土の表面を大気に暴露し、還元状態の土壌中に酸素を入れ、イネの根の生育を促進し、また、乾燥により土壌を締めることにより風による倒伏をふせぐ効果などもあるそうです。期間は1週間ぐらいで、大阪の平地では7月10日頃からと聞いています。

ヨシ原に中干しを行う効果の検証結果をお教えください。

2. 鵜殿における導水の目的は淀川の水位低下に伴う乾燥化した土壌へ水分を供給し、抽水植物であるヨシの生育に好適な環境をもたらすこと、および、乾燥化により侵入が容易となったカナムグラやヤブガラシなどのツル草類、セイタカアワダチソウ、オオブタクサなどの植生の繁茂を抑制することがあります。特にツル草類は初夏から秋にかけてヨシ・オギの表面まで生長・繁茂して葉を覆いつくし、倒伏させ、枯らしてしまい、ヨシ原衰退の大きな要因の一つです。しかし、3,4月の発芽期に数日水没すると枯れてしまうこともよく知られており、今年の導水路やその周辺を観察すると標高の低い常時水没しているところでは、ほぼ、ツル草類のないヨシ原が見られます。しかし、導水路内の微高地や両岸の小径などではヨシに混じって、あるいはヨシの下部にツル草類が生育しているのが常態です。これからツル草類は茎や葉に巻き付いて、ヨシ原の頂部まで生長し、夏の太陽光を浴び、葉上で前述のように大繁茂し、枯らせてしまいます。中干しが実行されると、ツル草類に好適な条件を与え、より生長を促し、これまでツル草のない状態で育ってきた良好な低湿地のヨシにまで伸長し、巻き付き、ヨシ原の倒伏を促進してしまう恐れが多分にあります。

つきましては、ツル草類の生長を抑制する見地からも導水の継続をお願いします。

以上

――――――――-綾史郎氏より配布された資料の転載はここまで————————-

▼───────────────

[3]「つる草抜き」予定

第8クール 8月21日(月)~8月24日(木)  午前8時~午前11時
第9クール 9月11日(月)~9月14日(木)  午前8時~午前11時

天候、作業の進行具合により変更などあります。
駐車場はありません。

▼───────────────

[4] 寄付のお願い

「つる草抜き」の活動を続けていくための寄付をお願いしています。

寄付振込先
●郵便局は
郵便振込用紙に「ヨシへ寄付」と記入頂き
[口座番号]00140‐5‐614032
[加入者名]雅楽協議会

●銀行は

三井住友銀行 田無支店
普通 4012320
雅楽協議会 鈴木治夫

▼───────────────

[5]『ヨシ原通信』バックナンバー

『ヨシ原通信』を拡散していただけるとありがたいです。
『ヨシ原通信』のバックナンバーは、下記より読むことが出来ます。
http://gagaku-kyougikai.com/?p=2139

これまでに配布しました資料などは下記のアドレスから見ることがます。
https://drive.google.com/drive/folders/1M4MpYYxGF_GAdzrpjayvbI6BEw6zO8YX

▼────────────────

[6] 問合せ先・連絡先

メール gagakudayori@yahoo.co.jp
℡042-451-8898 ℡090-1538-1693
雅楽協議会 http://gagaku-kyougikai.com
発行 雅楽協議会 ヨシ対策室 担当 鈴木治夫

image015

 

 

 

 

 

 

篳篥を吹く源博雅(『陰陽師 玉手匣 2』より)ⓒReiko Okano

▼────────────────

カテゴリー: つる草抜き, ヨシ原通信 パーマリンク