『ヨシ原通信』No.231 2023年8月18日(金)

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『ヨシ原通信』No.231 2023年8月18日(金)
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[1]「つる草抜き」8月21日(月)から 第8クール
[2] 篳篥のヨシをセイタカヨシ(西湖のヨシ)と間違えた 牧野富太郎-⑦
[3]「つる草抜き」予定
[4] 寄付のお願い
[5]『ヨシ原通信』バックナンバー
[6] 問合せ先

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[1]「つる草抜き」8月21日(月)から

第8クールの「つる草抜き」が、来週月曜8月21日午前8時より始めます。昼前の11時までです。
暑い日が続くと思われますので熱中症やケガ等には十分注意して、水などは多めに持参ください。
トイレはありません。駐車場もありません。

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・ナンバンギゼル(南蛮煙管)と『万葉集』 (2022年8月25日撮影 下流エリア)

万葉集にも歌われる花。

「ナンバンギセルの別名は思草(オモイグサ)です。古くは奈良時代の終わりに成立した万葉集に「思ひ草」として登場する植物が、ナンバンギセルだとされています。人々の生活の中で、キセルに例えられる以前から、尾花(ススキの別名)に寄り添って咲く花として知られていたことがわかります。首をかしげて咲く姿が、なにかを思っている人の姿のようにも見えますね。」と https://botanica-media.jp/1149 には書いてありました。

『万葉集』には「道の辺(へ)の 尾花(をばな)が下の 思ひ草 今さらさらに 何をか思はむ」とあり、意味は「道端の尾花(をばな)の元に咲いている思ひ草のように、いまさら何を思い悩んだりしましょうか」のようです。

『万葉集』の時代から咲いている花。「万葉集は、7世紀前半から8世紀後半にあたる759年から780年の間(奈良時代末期)に成立した日本最古の和歌集です。 約130年の間に貴族や官人、農民や大道芸人など、多様な身分の人々が詠んだ和歌が約4,500首以上も収められています。」(辞書より転載)

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[2] 篳篥のヨシをセイタカヨシ(西湖のヨシ)と間違えた 牧野富太郎-⑦

牧野富太郎は、昭和12(1937)年8月15日に篳篥用にヨシを調べるために鵜殿を訪れています。
8月15日の牧野富太郎の写真を最初に見たのは一人で写っている写真だけでしたので、写真を撮る人と2.3人での調査だったのかと思っていました。
その後、高槻市自然博物館あくあぴあ芥川の学芸員 高田さんから角家で保存していた8月15日撮影の写真を見せていただきました。

それが下の写真です。

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写っているのは6人ですから、撮影した人を入れると7人になります。いろいろと教えていただいて、名前が分かる人を書き出すと、左から1人目(名前 不明) 2人目(天王寺雅亮会理事 日下久悦) 3人目(五領村村長 森本正太郎) 4人目(牧野富太郎) 5人目(角 一三(かどいちぞう)) 6人目(名前 不明しゃがんでいる人) もし、お名前が分かりましたら教えてください。

この写真で、牧野富太郎の手にしているヨシは、篳篥用のヨシの様に見えます。

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(写真提供 角芳春氏)

この6人の集合写真の他に、帽子をかぶった人(角一二(かどいちじ))が、牧野富太郎にヨシを見せ、牧野富太郎は喜んでいるようにも見える写真のあることも知りました。(写真提供 角芳春氏)

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そして、すでに紹介しました牧野富太郎がセイタカヨシを持ってにこやかに笑っている写真と笑っていない写真があります。

(写真 兵庫県立 人と自然の博物館「植物学者 牧野富太郎 写真展 ~川﨑正悦氏アルバムより~」「牧野富太郎、高槻市鵜殿のヨシ原にたたずむ」より )

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(『牧野富太郎 植物博士の人生図鑑』平凡社p54 1937(昭和12)年8月 高知県立牧野植物園所蔵・写真提供)

ということで、8月15日撮影の写真は、この4枚と思われます。

この写真から分かることは、一人の時はセイタカヨシを持ち、集合写真の時は、篳篥用のヨシ(?)を持っている。角一二さんからヨシを見せてもらい喜んでいる(?)写真とがあり、いろいろなヨシを見て触り、手にしていることが分かる。

セイタカヨシを手にして笑っている写真と、セイタカヨシは手にしているが口を閉じて何かを見つめている写真の首の下の影の長さを比べると、大分異なっている。時間の経過を感じさせます。

まだ邪推の段階ではありますが、こんな風には考えられないか?鵜殿のヨシ原に着いた牧野富太郎はセイタカヨシを見つけて「小野蘭山『本草綱目啓蒙』や岩崎灌園『本草図譜』の書かれていた現物を手に出来た」と喜んだ。しかし五領村の村長(森本正太郎)や日下久悦氏( (雅楽の団体雅亮会で篳篥を演奏し製作もする)の説明を聞くと、どうも篳篥のヨシはセイタカヨシではないということが分かってきた。話を聞き終わって集合写真を撮る時は、森本正太郎村長から(或いは日下久悦氏から)送られた篳篥用のヨシを手にして写真に納まる

しかし、牧野富太郎はセイタカヨシ(セイコノヨシ)に間違えた理由が知りたかった。その為にはやはりセイタカヨシとヨシをさらに調査する必要を感じただろう。背景の無い牧野富太郎が一人でセイタカヨシを持っている写真(この写真は、牧野富太郎の胸の影の長さから、集合写真の後に撮られたのではないかと推測する)の顔は、拡大すると良く分かるのだが、何かを見つめじっと考えている顔に見える。

「セイタカヨシと間違えたのは何故なのか」と。

これはあくまで時間の経過を影の長さで測れたら、という前提がありますので、この前提が崩れた時はこの「邪推」は通用しなくなります。

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[3]「つる草抜き」予定

8月、9月の「つる草抜き」

第8クール 8月21日(月)~8月24日(木)  午前8時~午前11時
第9クール 9月11日(月)~9月14日(木)  午前8時~午前11時
(なお雨などにより中止の場合、作及び業の進み具合で日程の変更があります。)
駐車場はありません。

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[4] 寄付のお願い

「つる草抜き」の活動を続けていくための寄付をお願いしています。

寄付振込先
●郵便局は
郵便振込用紙に「ヨシへ寄付」と記入頂き
[口座番号]00140‐5‐614032
[加入者名]雅楽協議会

●銀行は
三井住友銀行 田無支店
普通 4012320
雅楽協議会 鈴木治夫

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[5]『ヨシ原通信』バックナンバー

『ヨシ原通信』を拡散していただけるとありがたいです。
『ヨシ原通信』のバックナンバーは、下記より読むことが出来ます。
http://gagaku-kyougikai.com/?p=2139

これまでに配布しました資料などは下記のアドレスから見ることがます。
https://drive.google.com/drive/folders/1M4MpYYxGF_GAdzrpjayvbI6BEw6zO8YX

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[6] 問合せ先・連絡先

メール gagakudayori@yahoo.co.jp
℡042-451-8898 ℡090-1538-1693
雅楽協議会 http://gagaku-kyougikai.com
発行 雅楽協議会 ヨシ対策室 担当 鈴木治夫

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篳篥を吹く源博雅(『陰陽師 玉手匣 2』より)ⓒReiko Okano

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