─◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆───
『ヨシ原通信』No.266 2023年11月24日(金)
─◆─◇◆◇◆◇◆◇─◆─
[1] 初冬のヨシ原
[2]「まとめの会」11月22日(水) 25名参加
[3] 来年「東儀秀樹ミニコンサート」3月31日(日)午後 上牧、本澄寺
[4]「日本の職人」鳳笙の製作 テレビ大阪 12月27日
[5] 篳篥の蘆舌用ヨシの購入について
[6]『ヨシ原通信』バックナンバー
[7] 問合せ先
▼──────────────
[1] 初秋のヨシ原
つる草抜きを終えた9月14日より2カ月以上経った11月21日のヨシ原。
「つる草抜き」のエリアのヨシが4.5m~5m近くまで伸び、こい茶色の穂を出しています。(白色の穂はオギ)
青い空をバックに篳篥用ヨシも多数生育しています。
下草はまだ緑色ですが、寒くなると枯れてしまいます。
ところが「つる草抜き」エリア以外に目を向けると、夏まで生えていたヨシはカナムグラなどのつる草に押し倒されてしまいます。
遠くに少しヨシが見えるのは、「調査区」として手入れをしている箇所です。2年前のヨシの押し倒され方よりも強力です。つる草が多くなりヨシの上にのしかかる重量も増え、ヨシが腰を曲げる状態の2年前より、今年は地面に這いつくばうほどに曲げられています。
何もしなければ「つる草抜き」エリアもこのようになっていました。ヨシは光合成もできなくなり、地下茎に栄養分を蓄えることは出来ず、衰えていくばかりです。
思い起こせば2021年秋「篳篥用のヨシは全滅」と連絡を受け、すぐに「篳篥ヨシ再生」への準備にかかり2022年春から人の手による「つる草抜き」を始め、今年2023年も「つる草抜き」を続けました。東京から通いながらで大変でしたけれども篳篥用ヨシを再生できるところまでたどり着けました。ご協力いただきました多くの皆様に感謝いたします。
またこれは篳篥用ヨシの再生だけでなく、このヨシ原は、オオヨシキリの子育ての場所であり、つばめのねぐらでもあり、キツネノカミソリ、トネハナヤスリ、ナンバンギセルなどなど絶滅危惧種を含む珍しいお花も咲かせ、神様トンボやイタチ、モグラ、シデムシ(死出虫)などなど多くの動物もこのヨシ原で生活しています。子供たちは<ちまき>作りにヨシの葉を採り、近隣の小学校では「鵜殿は地域の宝」と大切にして、ヨシ笛や篳篥のクラブも生まれました。はたまたヨシは神社の茅の輪にも使われ、さらにヨシ紙、タオルなどにも使われるようになりました。
雅楽の文化の継承へと取り組んだ篳篥用ヨシの再生の活動は、単にそれだけではなく、多くの絶滅危惧種を含む動物や植物の再生と共存への道でもありました。この道は渡り鳥のオオヨシキリやつばめを通してアジアの地域ともつながるものでした。人間は自然の一部、人間は自然無しには生きていけません。ヨシ原の再生を通して人間と自然とが共存し、明日に生きる子供たちへ、豊かな自然を残し、「鵜殿は地域の宝、そして地球の宝」となれたらなんと素敵な事でしょう。
(今年の夏のヨシ原を上空からドローンで撮影。通路として刈り取ったところが黒い筋のようになり、その内側が「つる草抜き」エリアで7000㎡あり、ヨシが再生されていることが分かります。写真提供 NEXCO西日本)
▼───────────────
[2] 11月22日「まとめの会」を開きました。
11月22日(水)午後1時30分から3時30分まで25名の方々にお越しいただき上牧公民館 2階会議室で開催しました。
まず上牧実行組合の代表の木村和男さんの挨拶にはじまり、それぞれより調査などの報告を頂きました。
(写真 11月22日「まとめの会)
7本の報告のタイトル
〇ヨシ原におけるヨシの生育状況調査(令和5年最終版)
TKK自然観察会 田口圭介、高槻市街にぎわい部農林緑政課
〇篳篥用ヨシ区のヨシの成長(2022年5月~7月、2023年4月~10月)
綾史郎(大阪工業大学名誉教授)
〇2023年度鵜殿導水路の通水状況観測報告(暫定版)
綾史郎(大阪工業大学名誉教授)
〇「鵜殿ヨシ原の保全と新名神高速道路の両立を目指して Ver7」
西日本高速道路㈱ 石岡浩二
〇「鵜殿ヨシ原ヨシ刈り 2024年2月2日、3日 の案内」
一般社団法人ヨシオープンイノベーション協議会 塩田真由美
〇「特定外来生物」ナガエノツルノゲイトウの駆除の報告と課題」
高槻市立自然博物館(あくあぴあ芥川) 高田みちよ
〇「2023年 つる草抜きのまとめ」
雅楽協議会 鈴木治夫
報告資料については順次掲載していきたいと思います。
いろいろな角度からの報告は、今年のヨシ原の現状を立体的に浮き上がらせました。貴重な情報と意見を共有することが出来ました。これをもとに来年に引き継がれていくことと思います。
2023年11月22日「まとめの会」にご参加いただきました方々 (五十音順・敬称略)
大阪工業大学名誉教授 綾史郎/ 大阪楽所 森田尚宏/ 上牧実行組合 木村和男・芳川篤志/ 北大阪商工会議所 榎並佑亮/ 国交省淀川河川事務所高槻出張所 所長木瀬龍也・一色悠里・芝野喜美子/ 高槻・五領の環境と子どもの未来を守る会 安田千明/ 高槻市自然博物館(あくあぴあ芥川) 高田みちよ/ 高槻市農林緑政課 川邉正英 中津 / たかつき環境市民会議 山崎文男/ TKK自然観察会 田口圭介/ つる草抜参加者 角南宏・松野慎也/ 天王寺楽所雅亮会 小野真龍・前川隆哲/ ナガエツルノゲイトウバスターズ 赤對一雄/ 西日本高速道路㈱ 石岡浩二・北里泰敬/ 本澄寺 三好龍孝/ ヨシオープンイノベーション協議会 塩田真由美・塩田奈津子/ 雅楽協議会 鈴木治夫(司会)
▼───────────────
[3]「東儀秀樹ミニコンサート」来年3月31日(日)午後 上牧、本澄寺
「つる草抜き」に合わせて東儀秀樹さんの好意により毎年無料で「東儀秀樹ミニコンサート」を開催しています。来年は3年目、2024年3月31日(日)午後、本澄寺にて開催です。詳細は未定。
午前中は「つる草抜き」です。
▼───────────────
[4]「日本の職人」鳳笙の製作 テレビ大阪 12月27日(水) 25時(予定)より
私(鈴木治夫)の仕事は「鳳笙」の製作です。「日本の職人」で放映くださいます。見逃し配信TVerでも見られるとのことです。
▼───────────────
[5] 篳篥の蘆舌用ヨシの購入について
「つる草抜き」エリアの篳篥蘆舌用のヨシを購入希望の方は下記へご連絡ください。
連絡先・問合せ先 メールアドレス
kimura7633@gmail.com (上牧実行組合 木村和男氏)
▼───────────────
[6]『ヨシ原通信』バックナンバー
『ヨシ原通信』を拡散していただけるとありがたいです。
『ヨシ原通信』のバックナンバーは、下記より読むことが出来ます。
http://gagaku-kyougikai.com/?p=2139
これまでに配布しました資料などは下記のアドレスから見ることがます。
https://drive.google.com/drive/folders/1M4MpYYxGF_GAdzrpjayvbI6BEw6zO8YX
▼────────────────
[7] 問合せ先・連絡先
メール gagakudayori@yahoo.co.jp
℡042-451-8898 ℡090-1538-1693
雅楽協議会 http://gagaku-kyougikai.com
発行 雅楽協議会 ヨシ対策室 担当 鈴木治夫
篳篥を吹く源博雅(『陰陽師 玉手匣 2』より)ⓒReiko Okano
▼────────────────