『ヨシ原通信』No.107 2022年10月22日(土)

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『ヨシ原通信』No.107 2022年10月22日(土)
発行 雅楽協議会 ヨシ対策室事務局(担当 鈴木治夫)

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篳篥を吹く源博雅(『陰陽師 玉手匣 2』より)
ⓒReiko Okano

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[1] 振り返り-1
[2] 「まとめの会」を開きます。
11月18日(金)午後1時30分 上牧公民館
[3] 篳篥の不思議と神秘-1
[4] 『ヨシ原通信』バックナンバー
[5] 寄付のお願い
[6] 問合せ先

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[1] 振り返り-1

昨年9月に篳篥用ヨシ全滅の知らせを受けて、「雅楽を私たちの代で途絶えさせてはいけない」雅楽を継承しようとの切なる願いを込めて、「篳篥用ヨシの再生」へ取り組んできました。
いろいろな事がありましたが、多くの方々のご協力により「篳篥用ヨシの再生」への第一歩を「成功」のうちに踏み出せたように思います。
これまでの歩みを振り返り、来年以降への参考にと記録しておきたいと思います。

image003(これから何回かに渡って書いていきますが、お気づきの点がありましたらお気軽にご意見、ご感想をお寄せください。このメールに返信いただければありがたいです。)
まず思うことは、半年余りこのヨシ原に通う中で、ここは雅楽のヨシ原でもありますが、日本の歴史の中でもとても貴重なヨシ原でることを実感してきました。

先ずは 葦牙(あしかび)(写真 赤對一雄氏)から。今年(2022年)3月20日には5㎝程度に伸びています。(来年の春の「つる草抜き」は今年より早めに始めましょうとの意見も寄せていただいています)

 

 

 

 

4月10日、「つる草抜き」の初日、午前中は「つる草抜き」です。

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(この下の写真の左 準絶滅危惧種のノウルシ(野漆)ですね。ヨシ原には珍しい植物や動物がたくさん生きて生活しています。ここに来て初めて知りました)

「つる草抜き」参加者は400名(関係者含む)となりました。広い範囲のカナムグラとヤブガラシを抜きました。抜いた草の重量なんと350㎏。

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(4月10日に抜いた「つる草」350㎏ 赤對さん一人で後片付け。ありがとうございました。)

image011午後は本澄寺にて「東儀秀樹ミニコンサート」を開催。東儀さんの演奏を聴きたいと多くの方にお越しいただきました。本堂には入りきれず、急遽庭での演奏もされました。ミニコンサートは「つる草抜き」より多い600名の方々が参加くださいました。(関連『ヨシ原通信』№17、18)

「来年も東儀秀樹さんの篳篥が聞きたい」との声をたくさん寄せていただいています。
来年も開催してくださると東儀さんより返事をいただき、現在来春の日程の調整中です。

 

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(4月10日、コンサートを終えて 本澄寺本堂にて)

ここには写っていない大勢の方々にもご協力・お手伝いいただきました。
翌11日より実質的な「つる草抜き」の開始です。
なにもかも新しい事ばかりで、やはりつまずきました。

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[2] 「まとめの会」を開きます。

11月18日(金)午後1時30分 上牧公民館
「つる草抜き」初年の「まとめの会」を開きます。

来年の「つる草抜き」に向けて、良かった事、改善したほうが良い事、などなど情報を共有するとともに意見を出し合う会です。
多くの皆さまの参加をお待ちしています。
『上牧・鵜殿ヨシ原の篳篥用ヨシの再生に向けた取り組み 中間報告』(A4 20p)にまとめてあります。下記よりダウンロードするとどなたでも読むことが出来ます。

https://drive.google.com/drive/folders/1M4MpYYxGF_GAdzrpjayvbI6BEw6zO8YX

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[3] 篳篥の不思議と神秘-1

以前『ヨシ原通信』№32から、「ヨシの不思議と神秘」と3回(№32.№33.№34)続けました。

ヨシの話から雅楽に使用する篳篥(ひちりき)の楽器の不思議と神秘への話と続けようと思っていたのですが、なかなか手が回りませんでした。これから「篳篥の不思議と神秘」とタイトルを変えて続けようと思います。

まず「ヨシの不思議と神秘」(『ヨシ原通信』№32~34)を振り返ってみます。

①「ヨシ(葦牙)は神様」となり、「葦牙は人」となったと『古事記』『日本書紀』にあります。ヨシの若芽である葦牙は、神様になるのです。『古事記』に「葦牙(あしかび)の如く萌え騰(あが)る物に寄りて成れる神の名はウマシアシカビコヂノカミ(神)」とあります。『古事記』の中で最初に出てくる植物は葦でした。植物から神様が生まれたと書いてあります。解釈はいろいろとあるようですが、葦(ヨシの若芽=葦牙)から神が生まれ、葦は神にも例えられるような尊いものであったことは確かのようです。『日本書紀』には「葦牙が人となった」(『日本書紀 全現代語訳』講談社文庫17頁)とも記されています。

なぜ 昔の人はこのように思ったのか、とても不思議です。

ヨシが神様とすると、篳篥を奏するときは、ヨシが振動して音を出すのですから、みんな神様を口にくわえて、(振動するヨシ)神様の力を借りて神様が音を出していることになります。不思議を通り越して神秘を感じます。(『ヨシ原通信』№32参照)

②葦・ヨシと鉄とが結びついていることに驚きました。葦の根に褐鉄鉱が鈴状に付着するのだそうです。それを高師小僧(たかしこぞう)と呼ぶと。(『ヨシ原通信』№33)

後日 高師小僧を手に入れることが出来ました。

『古事記』の時代日本を「豊葦原瑞穂国」と呼びました。昔は「葦が豊かに生育して、お米の穂が実る国」と呼びました。これもとても不思議ですね。

『鉄から見た我が国の古代史』吉田敏明 『古代の鉄と神々』真弓常忠(2018) 『神道<いのち>を伝える』葉室頼昭(2000)他を参照しました。

③篳篥のリードの材料は、日本に伝えられてきたときと現在では変わっています。江戸時代には現在のヨシを使用していることが『楽家録(がっかろく)』に書いてあるので分かるのですが、ではいつ頃から変わったのか? 何故 材料を変えたのか?の理由について書いてある本を私は読んだことが無いのです。雅楽を研究している人にも聞きましたが、「書いた人はいないでしょう」とうことでした。(『ヨシ原通信』№34は、篳篥のリードの材料について書いています)

もしかしたら、この上牧・鵜殿ヨシ原の歴史と関係があるのではないかと調べているところです。調べている中で、音楽や宗教(仏教と神道 神仏習合の歴史)、石清水八幡宮と雅楽に出会い、とても不思議に感じたことが多々ありましたので、それを書いておこうと思います。もしかしたら篳篥の蘆舌の変化の歴史の仮説を立てられるかもしれません。

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[4] 『ヨシ原通信』バックナンバー

『ヨシ原通信』を拡散していただけるとありがたいです。
『ヨシ原通信』のバックナンバーは、下記より読むことが出来ます。
http://gagaku-kyougikai.com/?p=684

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[5] 寄付のお願い

「つる草抜き」の活動を続けていくための寄付をお願いしています。
どうぞよろしくお願いいたします。

寄付振込先

●郵便局は
郵便振込用紙に「ヨシへ寄付」と記入頂き
[口座番号]00140‐5‐614032
[加入者名]雅楽協議会

●銀行は
三井住友銀行 田無支店
普通 4012320
雅楽協議会 鈴木治夫

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[6] 問合せ先・連絡先

メール gagakudayori@yahoo.co.jp
℡042-451-8898 ℡090-1538-1693
雅楽協議会 http://gagaku-kyougikai.com
発行 雅楽協議会 ヨシ対策室事務局 担当 鈴木治夫

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