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『ヨシ原通信』No.110(2022年10月26日(水)
発行 雅楽協議会 ヨシ対策室事務局(担当 鈴木治夫)
篳篥を吹く源博雅(『陰陽師 玉手匣 2』より)
ⓒReiko Okano
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[1] 振り返り-3
[2] 「まとめの会」を開きます。
11月18日(金)午後1時30分 上牧公民館
[3] 篳篥の不思議と神秘-3
[4] 『ヨシ原通信』バックナンバー
[5] 寄付のお願い
[6] 問合せ先
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[1] 振り返り-3
〇カナムグラとヤブガラシ
4月10日は、初めての方ばかりで参加人数も多くなることが分かっていましたので、ビニール袋を渡し、カナムグラのみを抜いてもらうことにしました。(4月10日及びそれ以降の詳細について3月29日(火)、関係者7名余りが集まり話し合い内容を決めました。)
(ホワイトボードに記録しながらの打合せ 2022年3月29日午後 高槻市の会議室にて)
4月11日(参加者52名)からは、ビニール袋と担当する区画割カードを渡し、説明員の方々からカナムグラ、ヤブガラシ、オオブタクサを抜いてもらうようにお願いしました。
そこで役に立ったのが、プランターに植えた現物です。慣れるまではカナムグラもヤブガラシも見分けがつきません。写真と現物とは成長具合で異なりますので、このプランターは好評でした。
ビニール袋を手に、担当の区画割カードを首に軍手をしてカナムグラなどを抜いていきます。
5月からは抜いた草はその場に放置しておくようにしました。土に直接太陽が当たるとそこからまた草が生えてくるので。4月もその場に放置するわけにはいかないのでしょうか?
カナムグラ、ヤブガラシ、オオブタクサ のプランター
●ヤブガラシは地下茎も抜く
カナムグラは1年草ですから1回抜くともう芽を出さない。とにかく抜いていくと減っていきます。4,5月はカナムグラも芽を出していましたが、6月になるとほとんど芽を出さなくなりました。
ところがヤブガラシは地下茎で芽を出すので、抜いても抜いても芽を出してきます。ヤブガラシは8月になっても抜いていました。ヤブガラシの扱いはとても面倒でした。
いろいろな方と話して「来年は地下茎も抜いていったら良いのでは」という意見も多く聞いています。ヤブガラシの地下茎を抜く専門のグループを作ってでも、「地下茎も取り除く」も良いのかもしれないと思っているところです。
ヤブガラシの発芽率が激減すれば、とても助かります。ヤブガラシへの良い方法がありましたらご意見をお寄せください。
〇 5月から鎌を使用し、迷子と熱中症の対策として1区画4~5人で入る。
4月には手で簡単に抜けていたつる草なども5月になると簡単には抜けなくなりました。急遽鎌を買いに行き、鎌を使用しての作業に切り替えました。
またヨシは2mを超す背丈となり、4月は見渡せていたヨシ原が、立ち上がっても方向すら分からなくなりました。また熱中症で何か起きた場合の事も考慮して1区画3~5人で入るようにしました。川側と堤防側と渡すロープに川側、堤防側の印が付けられると初心者の方は方向が分かり易いように思います。
※初めての方は迷子になりやすいです。初心者でも迷子にならない対応を考えた方が良いように思っています。迷子になりそうな場面に4、5回出会いました。
5月からは鎌を手にして「つる草抜き」です。
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[2] 「まとめの会」を開きます。
11月18日(金)午後1時30分 上牧公民館
「つる草抜き」初年の「まとめの会」を開きます。
来年の「つる草抜き」に向けて、良かった事、改善したほうが良い事、などなど情報を共有するとともに意見を出し合う会です。
多くの皆さまの参加をお待ちしています。
『上牧・鵜殿ヨシ原の篳篥用ヨシの再生に向けた取り組み 中間報告』(A4 20p)にまとめてあります。下記よりダウンロードするとどなたでも読むことが出来ます。
https://drive.google.com/drive/folders/1M4MpYYxGF_GAdzrpjayvbI6BEw6zO8YX
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[3] 篳篥(ひちりき)の不思議と神秘-3
〇泥棒や海賊を改心させる篳篥の音色
この『ヨシ原通信』のタイトルの下に毎回掲載している篳篥を吹く源博雅(みなもとのひろまさ)の絵は、岡野玲子さんの『陰陽師 玉手匣(おんみょうじ たまてばこ) 2』(白泉社 発行2012年)の表紙にかがれている絵で、岡野玲子さんから「お使いください」と無償で使用させていただいているものです。
(『陰陽師 玉手匣 2』(白泉社 発酵2012年)の表紙。左下にねずみ』
この源博雅が篳篥を吹いている場面は、岡野さんも『陰陽師 玉手匣 2』(224p)に書いていますように、鎌倉時代に書かれた『古今著聞集』429段 新潮日本古典集成(下80頁)、『続教訓抄』第11冊 463頁に記されています。博雅の家に盗みに入った泥棒が、博雅が隠れている間に、篳篥1本を除いて全て持ち去ってしまった。博雅は残された篳篥を取り出し吹き出すと、その篳篥の音色を聞いた泥棒は、音色の素晴らしさに「悪心がみんな改まり」その感情を抑えがたく、泥棒は引き返してきて盗んだものを全て博雅に返したという。篳篥の音色はそれほどに人の心を動かす音色であるという不思議な話が伝えられています。
他にも篳篥の音色に感動して心を改める話が書き残されています。
『今鏡』『教訓抄』『十訓抄』『古今著聞集』『愚問記』などには、平安時代、海賊に襲われて命乞いをしながら篳篥を吹くと、それを聞いた海賊はその音色に感動し、何もせずに去って行き、さらには海賊が行き先まで案内したという。
そのいくつかを紹介しましょう。
☆『今鏡』には「篳篥の名手の和邇部用光(わにべのもちみつ)が、相撲使に西国へ行く途中、吉備国で海賊に襲われる。命は無いだろうと覚悟の上で 正装して篳篥を演奏すると、海賊たちは感動し褒美をくれて去っていった」という。(『今鏡』「賢き道々」 『続教訓抄』第11冊 456p)
☆『十訓抄』には「用光が、土佐の御船遊びの帰りに、安芸国で海賊に襲われる。殺されると思い、「小調子(こちょうし)」を聞かせましょう」と篳篥を演奏すると海賊の頭領が感涙し、船から去っていった」という。(『十訓抄』第10「可庶幾才能・藝業事」岩波文庫 275p 『続教訓抄』第11冊457p)
☆『古今著聞集』には「用光が南海道に向かう時に、海賊に襲われる。用光は殺されると思い一時の助命を願い出て「最後に一曲演奏させて欲しい」と願い「臨調子(あがじょう)」を演奏。すると海賊は感涙し淡路の南浦まで送り届けてくれた」という。(『古今著聞集』新潮日本古典集成 下81p 『続教訓抄』第11冊457p)
☆『続教訓抄』には「茂光が雅楽寮の人々と筑紫の宇佐宮(宇佐八幡宮)参詣に同行する途中、海賊に襲われる。茂光は一時の助命を願い出て、小調子を演奏すると、海賊は感涙する。さらに茂光は宇佐宮参詣のことを伝えると、海賊が宇佐宮まで送り届けてくれた。」という。(『続教訓抄』第11冊458p)
海賊に襲われ殺されそうになったけれども篳篥の音色で海賊を改心させたという話は、このようにいろいろな本に書かれるようになります。篳篥の持つ音色が人の心を動かすものであることを伝えたかったのではないかと思われるのです。
清少納言や紫式部が篳篥をどのように書いているかを次回見てみましょう。
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[4] 『ヨシ原通信』バックナンバー
『ヨシ原通信』を拡散していただけるとありがたいです。
『ヨシ原通信』のバックナンバーは、下記より読むことが出来ます。
http://gagaku-kyougikai.com/?p=684
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[5] 寄付のお願い
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どうぞよろしくお願いいたします。
寄付振込先
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[口座番号]00140‐5‐614032
[加入者名]雅楽協議会
●銀行は
三井住友銀行 田無支店
普通 4012320
雅楽協議会 鈴木治夫
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[6] 問合せ先・連絡先
メール gagakudayori@yahoo.co.jp
℡042-451-8898 ℡090-1538-1693
雅楽協議会 http://gagaku-kyougikai.com
発行 雅楽協議会 ヨシ対策室事務局 担当 鈴木治夫
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