『ヨシ原通信』No.111 2022年10月27日(木)
発行 雅楽協議会 ヨシ対策室事務局(担当 鈴木治夫)
篳篥を吹く源博雅(『陰陽師 玉手匣 2』より)
ⓒReiko Okano
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[1] 振り返り-4
[2] 「まとめの会」を開きます。
11月18日(金)午後1時30分 上牧公民館
[3] 篳篥の不思議と神秘-4
[4] 『ヨシ原通信』バックナンバー
[5] 寄付のお願い
[6] 問合せ先
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[1] 振り返り-4
〇トイレ・駐車場など
「つる草抜き」に関連することについて記録しておこうと思います。
●まず、トイレです。平日はNEXCOの工事現場のトイレを借用させていただきました。男性用と女性用と別にあります。写真は男性用のトイレです。女性用は専用のプレハブが建てられています。
日曜など休日は使用できないので、本澄寺のトイレを借用しています。どちらもご厚意でお貸しいただいています。ありがとうございます。
NEXCOの工事は6月中旬から10月中旬まで休みとなり、施設などは全て撤去されるのでこのトイレを使用することは出来なくなります。6月はトイレなどの撤去の前の6月11日までを「つる草抜き」としました。7月から9月の「つる草抜き」は暑さ対策も含め朝8時から11時までの3時間とし、トイレを使用しなくても済む時間帯としました。
男性用の移動式のトイレ(女性用は専用のトイレが別にあります)
●駐車場 4月10日(日)はNEXCOの工事現場の駐車場を借用しました。11日からは本澄寺の駐車場を借用し、本澄寺からヨシ原まで徒歩でお越しいただきました。「つる草抜き」参加の方は本堂より離れて停めるようお願いしています。本堂前は参詣者の方の駐車スペースです。
山崎出張所の堤防より工事現場入口(写真中央左の白い壁)を見る。
本澄寺駐車場(つる草抜きの方は本堂より離して停めてください)
●受付場所
4月の受付場所は、山崎出張所の堤防の上からも分かり易く、見やすいように、工事現場横の空きスペースを借用しました。「つる草抜き」の現場へはここから10分ほど歩いて行きます。(受付準備は8時半から、9時に受付開始、9時半に受付を閉じる。その後来られた方は「つる草抜き」の現場で受付)
(写真 4月の受付場所。左奥が工事車両の出入り口。4月10日の駐車場入口でもありました)
5月~6月の受付場所は、「つる草抜き」の現場11-Aの臨時のテントの場所に移動しました。
4月は、初めての参加で分かり易いところに受付を作りました。これですと現場と受付と離れ不便な点もあり5月から受付は「つる草抜き」の現場へと移動しました。
5月6月の受付場所 「つる草抜き」11-Aの場所。ヨシズは上牧実行組合の木村和男さんの手作り。テントは朝に組立、帰りに撤去する。テントやビニールシート、救急薬品などはNEXCO工事現場(4月の受付場所近く)のプレハブの隅に置かせていただきました。
7月8月9月の受付場所は、さらに200m進み、木陰のできる場所に移動。夏は日陰が無いと休憩できないので木陰のできる場所に移動。テントは運搬・組立・解体の手間もあり使用しませんでした。
熱中症に注意して、汗をかきながらの「つる草抜き」
●作業時間
4月~6月 9時30分から午後4時まで、途中1時間おき程度に休憩を入れ、昼食休憩は自宅に食べに帰る人もいるので、11時30分から午後1時まで。
7月~9月 8時から11時 40分おき程度に休憩を入れ、お互い熱中症に特に注意
●障害保険は、鎌の使用のケガと熱中症も対象になる保険に加入。ボランティア、アルバイト共に参加者全員を対象にし、経費は「つる草抜き」の寄付より負担しています。保険対応のため連絡先の記入を受付時にお願いしています。
●税金 アルバイトの方の税金については、私の住まいの近くの東村山税務署の指導を直接受けて、寄付金より納税しています。(納税は、人数のみの報告で良く、氏名などの報告はしていません)
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[2] 「まとめの会」を開きます。
11月18日(金)午後1時30分 上牧公民館
「つる草抜き」初年の「まとめの会」を開きます。
来年の「つる草抜き」に向けて、良かった事、改善したほうが良い事、などなど情報を共有するとともに意見を出し合う会です。
多くの皆さまの参加をお待ちしています。
『上牧・鵜殿ヨシ原の篳篥用ヨシの再生に向けた取り組み 中間報告』(A4 20p)にまとめてあります。下記よりダウンロードするとどなたでも読むことが出来ます。
https://drive.google.com/drive/folders/1M4MpYYxGF_GAdzrpjayvbI6BEw6zO8YX
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[3] 篳篥(ひちりき)の不思議と神秘-4
紫式部と清少納言
平安時代に書かれた紫式部の『源氏物語』には、雅楽の曲名や演奏場面が数多く描かれています。平安時代の雅楽を知るうえでとても大切な本でもあります。特に光源氏と頭中将が青海波を舞う「紅葉の賀」の場面(『源氏物語』岩波文庫㈠259p)は有名です。
この青海波の後、「これは仏の迦陵頻伽(極楽にいる鳥)の声」の曲になり、帝(みかど)は「とても素晴らしくまた哀れに聞こえると涙を流し、他の人たちも涙を流しながら聞いている」とその情景が描かれています。(『源氏物語』岩波文庫㈠259p)
『源氏物語』に登場する雅楽の曲名は20数曲、演奏場面も管絃(かんげん)、舞楽(ぶがく)、御神楽(みかぐら)、東遊(あずまあそび)、催馬楽(さいばら)などといろいろと描かれるのですが篳篥に直接言及するのは「若菜」の巻の1か所だけで、そこには篳篥について簡単に「例の、篳篥吹く随身、笙の笛持たせたるすきものなどあり。」(『源氏物語』「若紫」岩波文庫㈠185p)と触れているだけです。
紫式部は雅楽の演奏についてはとても楽しみながら聞いているのが伝わるのですが、篳篥については関心が薄かったのかもしれませんね。
同じ平安時代に生きた清少納言は『枕草子』の中で篳篥について次のように書いています。
「篳篥はとてもやかましく、クツワムシのような感じで、近くで聞きたくもない嫌なものである。まして下手な演奏は腹立たしい」(『枕草子』角川日本古典文庫(下)88p、332p)と。この文章から清少納言は篳篥を嫌っているのではないかと解釈する人もいるようなのですが、私は清少納言の言いたかったことはこの後に続けて書いている「臨時の祭りの日、物陰で笛を吹き始め、その音色が素晴らしいなと聞いていると、途中から篳篥が加わり一緒に吹き始めた。それはそれはもう素晴らしく鳥肌が立つような(立派な髪を持っている人でもすっかり逆立ってしまうような)ぞくぞくした気分になりました。そして和琴、笛、篳篥と歩みでたのはとても素晴らしいものでした」と篳篥の音色の素晴らしさに鳥肌が立つほどの感動を伝えています。
雅楽の解説書などは前半の「篳篥はクツワムシの音で嫌い」というところのみを引用して「清少納言は、上手な人の篳篥を知らない」と書いてあるものもありますが、清少納言は篳篥の素晴らしさを書く為にこそクツワムシを引き合いに出して書いたと思われます。清少納言は篳篥の音色が嫌いだったのではなく、とても好きだったからこそあのように書いたのではないかと思います。
紫式部と清少納言の篳篥についての言及に少し触れてみました。
話を戻しまして、前回は、篳篥と海賊についての説話(エピソード)を書きました。他にも篳篥の不思議な力を発揮する説話が伝えられています。二つの話を簡単に触れておきます。
一つは、干ばつの年、村の人たちは雨乞いをしたが雨が降らない。7月になり篳篥吹きの遠理(とほまさ)は、神社に行き篳篥の調子を3回繰り返して吹いているとにわかに雲がかかり、雨が降ってきた。「これは神の感応のいちじるしいこと、篳篥の秘曲の威力を失っていないことのあらわれである」と、篳篥の持つ神と秘曲の持つ神秘について書いています。(『古今著聞集』250新潮日本古典集成 上300p)
もう一つは、篳篥の音が大嫌いだった志賀僧正明尊が、ある月の夜、湖上に管絃や和歌などの船を浮かべて遊ぶ時、伶人(楽人)たちは「僧正は篳篥が大嫌いだから篳篥無しで演奏しよう」と決めて篳篥の名手の用枝には船に乗らないように言った。しかし用枝は「私は打ち物をやりましょう」と言って船に乗った。宴もたけなわとなり夜も更けた頃、用枝は隠し持っていた篳篥のリードを湖水に浸して篳篥を吹き始めた。それを見て楽人たちは、これはいけない連れてこなければよかったと顔を青くして嘆いていた。しかし、その用枝の篳篥の音色は聞く人の心に染み入り、みんな涙を流して聞いていた。ずっと篳篥を嫌っていた僧正も「教えに篳篥は迦陵頻伽(かりょうびんが=極楽浄土に住む妙音鳥)の声を学び模したといわれているが、今まで信じられなかった。だが今始めてこの篳篥の音色を聞いて、この教えが本当であることが良く分かった。篳篥の音色は極楽の音色の如くすばらしい」と言って用枝一人だけに褒美を与えた。それから後、僧正はこの話を人に話しては涙を流したという。(『古今著聞集』251 新潮日本古典集成 上300p)
篳篥にまつわる人の心を感動させ不思議な力を持つ話は、他の楽器(笛や笙、琵琶や筝)には余りありません。篳篥に関してのみ格段に多いように思います。
次回は篳篥や笛と一緒に演奏する笙について考えます。笙はいつ頃、誰が考案し、作られたのかを尋ねながら、篳篥の楽器を考えようと思います。
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[4] 『ヨシ原通信』バックナンバー
『ヨシ原通信』を拡散していただけるとありがたいです。
『ヨシ原通信』のバックナンバーは、下記より読むことが出来ます。
http://gagaku-kyougikai.com/?p=684
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[5] 寄付のお願い
「つる草抜き」の活動を続けていくための寄付をお願いしています。
どうぞよろしくお願いいたします。
寄付振込先
●郵便局は
郵便振込用紙に「ヨシへ寄付」と記入頂き
[口座番号]00140‐5‐614032
[加入者名]雅楽協議会
●銀行は
三井住友銀行 田無支店
普通 4012320
雅楽協議会 鈴木治夫
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[6] 問合せ先・連絡先
メール gagakudayori@yahoo.co.jp
℡042-451-8898 ℡090-1538-1693
雅楽協議会 http://gagaku-kyougikai.com
発行 雅楽協議会 ヨシ対策室事務局 担当 鈴木治夫
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