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『ヨシ原通信』No.113 2022年10月30日(日)
発行 雅楽協議会 ヨシ対策室事務局(担当 鈴木治夫)
篳篥を吹く源博雅(『陰陽師 玉手匣 2』より)
ⓒReiko Okano
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[1] 振り返り-6
[2]「まとめの会」を開きます。
11月18日(金)午後1時30分 上牧公民館
[3]「ヨシ原の今後を考えるシンポジュウム」
12月3日、4日
[4] 篳篥の不思議と神秘-5
[5]『ヨシ原通信』バックナンバー
[6] 寄付のお願い
[7] 問合せ先
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[1] 振り返り-6
前回は「つる草抜き」の区画での調査について記しました。
調査区はこの他にもいろいろあります。
10-Aの区画には3m四方余りでロープを張ってあるNEXCOの調査区です。
毎月1回4名余の方々がつる草などを抜いています。毎月手を入れるとその違いが良く分かります。
上の写真はNEXCOの調査区の写真(4月に撮影)です。
下の写真は鉄塔の横の調査区です。
「5年ほど前、ヨシが少し生えていた所なので、以後毎年、毎月手入れをしている調査区」だそうです。
鉄塔の横に「なぜここにヨシが生えているのか」と不思議に思っていましたが、やはり毎月手入れをされている所でした。3~4m四方に思えます。ここもNEXCOの調査区です。
下の写真 ここは10-Cの区画辺りになります。オギを抜いてヨシだけを残している区画とオギを1m余りの高さで刈り取る区画だそうです。
他の所との違いについて調査結果が待ち遠しいです。
上の写真は、オギを全て刈り取る区画。
上の写真の右手前はオギを1m余りの高さで刈り取ってある区画。中央奥はヨシを全て刈り取る区画。
比べると手前のオギを1m余りの高さで残す区画は、ヨシが少ないように見えました。
この二つの区画もNEXCOの調査区です。他にもNEXCOの調査区が複数あると聞いています。
19-Aの区画には、中島健太さんなどの調査区があります。4月から毎月1回程度管理調査をされているようです。この場所以外にも数か所に調査区を設けていると聞いています。
他にも9月に入って気が付いた調査区があります。
下の写真は29-Cの区画の辺りです。「鵜殿ヨシ原保存会 調査区」と杭が打たれていました。
8月は気が付きませんでした。この区画はほとんど手を入れていませんでしたので、ヨシはつる草などで押し倒されていたところです。8月以降手を入れたところとなりましょう。
同じ様な調査区が5.6か所ありました。それぞれ10m四方はあります。
見た限りではどの調査区もヨシの本数も少なく、穂も小さいように感じます。
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[2]「まとめの会」を開きます。
11月18日(金)午後1時30分 上牧公民館
「つる草抜き」初年の「まとめの会」を開きます。
来年の「つる草抜き」に向けて、良かった事、改善したほうが良い事、などなど情報を共有するとともに意見を出し合う会です。
多くの皆さまの参加をお待ちしています。
『上牧・鵜殿ヨシ原の篳篥用ヨシの再生に向けた取り組み 中間報告』(A4 20p)にまとめてあります。下記よりダウンロードするとどなたでも読むことが出来ます。
https://drive.google.com/drive/folders/1M4MpYYxGF_GAdzrpjayvbI6BEw6zO8YX
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[3] ヨシ原の今後を考えるシンポジュウム
ヨシ原の「千年の歴史の終焉をどのように回避するのか、について考えを深め、意見交流をし、今後の動きにつなげてゆきたい」と下記の内容のシンポジュウムが開かれます。
多くの皆さんと共に考えていきたいと思います。
【淀川河岸・三川合流地帯のヨシ原から考える社会生態史学の試み】
【1日目】
12月3日(土)
午後1時30分~
会場 国際日本文化研究センター(京都市西京区)
ご挨拶:劉建輝(国際日本文化研究センター教授)
伊藤謙(大阪大学総合学術博物館講師・科研代表)
司 会:深尾葉子(大阪大学人文学研究科教授)
発言者(敬称略)
〇鈴木治夫〇木村和男〇綾史郎〇田口圭介〇三好龍孝
座談会・懇談会
【2日目】
12月4日(日)
午前10時~
本澄寺にて お話
〇高田みちよ ヨシ原へ
午後 雅楽演奏
安満遺跡公園へ移動。遺跡見学 総合討論 会食有
【問合せ・お申込み先】
参加申し込み等の連絡先 深尾研究室 fukaoken@outlook.jp(担当:谷俊作)
★可能な方は以下のグーグルフォームを使ってお申込みください。
のちほど事務局からご連絡差し上げます。
https://forms.gle/2jezoXB9Vx3iBgFj9
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[4] 篳篥の不思議と神秘-5
「篳篥の不思議と神秘」も5回目となりました。
なるべく短く書くようにしています。今回は笙の事に触れておきます。
私が笙(鳳笙)を作り始めて50年余の年月が経ちました。笙の神秘的な音色に惹かれながらも「笙はいつ頃、誰が創り始めたのか」という疑問が頭から離れませんでした。いろいろと調べていく中で分かってきたことは、驚きの連続でした。笙が創られたのは、今から3000年余り前の事、中国の女媧という神様が笙を創ったと言われています。(女媧と伏羲については白川静『中国の神話』(中公文庫)、『別冊太陽 白川静の世界』など参照)
笙を創りだした女媧。女媧と伏羲は、人間を産み出した中国の神様です。
これらが書かれているのは『説文解字』『隋書』『舊唐書』『世本』『頖宮禮樂疏』などの漢文で書かれた中国の古い書物でした。
関連個所を順不同で下に列記しました。
「笙,古者女媧作簧。正月之音。物生,故謂之笙。象鳳之身。鳳凰於飛簫則象之 鳳凰戻止笙則象之。笙者發萬物始生、道達陰陽之氣、故有長短之制焉。有六合之和焉。大笙謂之簧、小笙謂之和。竹生聲。古者隨作笙。笙中簧也。从竹黃聲。十三簧,」
說文解字 – 笙 – 中國哲學書電子化計劃 (ctext.org)
隋書 : 卷十五志第十 音樂下 – 中國哲學書電子化計劃 (ctext.org)
舊唐書 : 卷二十九 志第九 音樂二 – 中國哲學書電子化計劃 (ctext.org)
詩經世本古義 : 卷十九之上 – 中國哲學書電子化計劃 (ctext.org)
禮記 – 笙 – 中國哲學書電子化計劃 (ctext.org)
これらを要約して簡単に私の現代語訳を記してみると
「笙は、女媧という人間を創造した神が作り出した楽器である。この笙は神の使いとも言われる鳳凰の形に象り作られている。笙は大地から芽を吹き出し、命が生み出される(旧暦正月の)音なので、生と書く。宇宙の生まれ始めるところから発生し、宇宙を構成する陰陽(生成と変化)を表す。そして天と地、東西南北の四方、合わせて六つの方、即ち宇宙全体の和がこの笙にはある。」と書いてあったのです。
簡単に誤解を恐れずに書くと「笙は、今から3000年以上前、長江文明の中で、人間を産み出した女媧という神様が、生命を育もうと創り出した楽器」ということになりそうです。
(私が書いた解説を『『楽家録』鳳笙 現代語訳』(A5判 63p)に書いています)
文字で書き残された他に、2500年余り前の笙も曽候乙墓というお墓から掘り出されています。
上写真 曽候乙墓より発掘された2500年余り前の笙
『論語』で有名な孔子も笙を演奏していたと思われる記述が『禮記』などにも記されています。李白も笙を吹いたようです。(動画にしてあります。時間がありましたらご覧ください)
鳳笙(笙) 1 李白と鳳笙
鳳笙(笙) 2 孔子と韶・笙
鳳笙(笙) 2 -2 孔子と笙 韶・舜の楽
日本では正倉院の笙が一番古い笙です。
正倉院の笙は息を入れるところが口ばしの様に伸びていて鳳凰の姿に近いです。(復元 鈴木)
現在は口ばしの所を短くしてあります。竹の節は鳳凰の翼を表現するように山の形に(孔雀の羽のように)配しています。写真は煤竹に鳳凰の蒔絵の笙です。(鈴木作)
鳳笙という楽器は、1枚のリードを吹いても吸っても同じ音が出る様にしなければいけませんので、リード作りは難しいです。しかし、この笙はどの国で演奏してもとても好まれる楽器です。
鳳笙は、中国から伝えられた曲などに演奏することが多い楽器で、日本の楽曲 (御神楽 東遊)などでは使用されません。
不思議に思いながら時が過ぎました。ヨシ原に入って篳篥の蘆舌(リード)のヨシは、葦牙(あしかび)という『古事記』『日本書紀』などに記され日本の神様と言われていることを知りました。
ヨシを口に加えることは、日本の神様を口に加えることと同じですね。
笙は女媧という中国の神様が作った楽器であることは江戸時代の『楽家録 (がっかろく) 』にも記されていますので、奈良時代、平安時代の人も知っていたはずです。平安時代になって菅原道真などが象徴的ですが、日本の文化が築かれていくようになりました。
それからです。もしかしたら平安時代の雅楽関係者は、中国大陸から篳篥の蘆舌として伝えられてきたダンチクを、あえて日本の神様である葦牙(葦、蘆、ヨシ)に変えていったのではないかという思いが沸いて来るようになりました。
次回は、白川静の文字学から音楽を考えていきます。
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[5]『ヨシ原通信』バックナンバー
『ヨシ原通信』を拡散していただけるとありがたいです。
『ヨシ原通信』のバックナンバーは、下記より読むことが出来ます。
http://gagaku-kyougikai.com/?p=684
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[6] 寄付のお願い
「つる草抜き」の活動を続けていくための寄付をお願いしています。
どうぞよろしくお願いいたします。
寄付振込先
●郵便局は
郵便振込用紙に「ヨシへ寄付」と記入頂き
[口座番号]00140‐5‐614032
[加入者名]雅楽協議会
●銀行は
三井住友銀行 田無支店
普通 4012320
雅楽協議会 鈴木治夫
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[7] 問合せ先・連絡先
メール gagakudayori@yahoo.co.jp
℡042-451-8898 ℡090-1538-1693
雅楽協議会 http://gagaku-kyougikai.com
発行 雅楽協議会 ヨシ対策室事務局 担当 鈴木治夫
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