『ヨシ原通信』No.114 2022年10月31日(月)

◆─◆◇◆◇◆◇◆◇◆───
『ヨシ原通信』No.114 2022年10月31日(月)
発行 雅楽協議会 ヨシ対策室事務局(担当 鈴木治夫)

image001

 

 

 

 

 

 

篳篥を吹く源博雅(『陰陽師 玉手匣 2』より)
ⓒReiko Okano
──ー◆◇◆◇◆◇◆◇─◆─

[1] 振り返り-7
[2]「まとめの会」を開きます。
11月18日(金)午後1時30分 上牧公民館
[3]「ヨシ原の今後を考えるシンポジュウム」
12月3日、4日
[4] 篳篥の不思議と神秘-6
[5]『ヨシ原通信』バックナンバー
[6] 寄付のお願い
[7] 問合せ先

▼────────────────

[1] 振り返り-7

調査などの続きです。

私達も調査の一環として、4月~6月までは「つる草抜き」を行い7月以降は手を入れない箇所を12-B(Cとの境)に作りました。暑くなってから「つる草」などはどのくらい生え、ヨシをどのようにしていくのかを観察したかったからです。

image003

7月30日はまだヨシは真っすぐに伸びています。

image005

9月29日はつる草に覆われ始め、倒されていきました。

やはり、7月、8月もしっかりと「つる草抜き」をしていかないとヨシは倒されてしまうことが分かりました。

別の箇所(11-D、19-C)は、ロープの外側なので4月に1,2回つる草を抜きましたが、それ以外は一切手を加えていないところです。

ヨシはどのように倒されているのかを見るための観察の場所です。

image007

11-Dの8月8日の様子です。ヨシの上につる草が覆いかぶさり、ツルの力と重さでヨシは押し倒されています。つる草などが覆いかぶさることでヨシは全く太陽に当たることが出来ず、光合成は出来そうもありません。つる草の下のヨシは成長が止まり、枯れていくでしょう。

image009

さらに2か月余り後、9月29日、19-Cの場所です。ここのヨシは根元近くより真横に倒されていきました。

ヨシは枯れているようです。これでは地下茎に栄養分を送ることは無理ですね、ヨシの地下茎は年々細っていくのではと心配です。

いろいろな方が調査をされていますので、今後の「ヨシ原の保全」に役立てられればと思います。

▼────────────────

[2]「まとめの会」を開きます。

11月18日(金)午後1時30分 上牧公民館

「つる草抜き」初年の「まとめの会」を開きます。
来年の「つる草抜き」に向けて、良かった事、改善したほうが良い事、などなど情報を共有するとともに意見を出し合う会です。
多くの皆さまの参加をお待ちしています。

『上牧・鵜殿ヨシ原の篳篥用ヨシの再生に向けた取り組み 中間報告』(A4 20p)にまとめてあります。下記よりダウンロードするとどなたでも読むことが出来ます。

https://drive.google.com/drive/folders/1M4MpYYxGF_GAdzrpjayvbI6BEw6zO8YX

▼────────────────

[3] ヨシ原の今後を考えるシンポジュウム

ヨシ原の「千年の歴史の終焉をどのように回避するのか、について考えを深め、意見交流をし、今後の動きにつなげてゆきたい」と下記の内容のシンポジュウムが開かれます。
多くの皆さんと共に考えていきたいと思います。

【淀川河岸・三川合流地帯のヨシ原から考える社会生態史学の試み】

【1日目】
12月3日(土)午後1時30分~
会場 国際日本文化研究センター(京都市西京区)

ご挨拶:劉建輝(国際日本文化研究センター教授)
伊藤謙(大阪大学総合学術博物館講師・科研代表)
司 会:深尾葉子(大阪大学人文学研究科教授)

発言者(敬称略)
〇鈴木治夫〇木村和男〇綾史郎〇田口圭介〇三好龍孝

座談会・懇談会

【2日目】
12月4日(日) 午前10時~
本澄寺にて お話 〇高田みちよ ヨシ原へ
午後 雅楽演奏
安満遺跡公園へ移動。遺跡見学 総合討論 会食有

【問合せ・お申込み先】

参加申し込み等の連絡先 深尾研究室 fukaoken@outlook.jp(担当:谷俊作)
★可能な方は以下のグーグルフォームを使ってお申込みください。のちほど事務局からご連絡差し上げます。https://forms.gle/2jezoXB9Vx3iBgFj9

▼────────────────

[4] 篳篥の不思議と神秘-6

白川静の文字学

昔の人はどのような想いで音楽を奏で、聴いていたのか、甲骨文字研究されている白川静氏の研究から、見ておきたいと思います。
まず、「音」について、『字通』(白川静 平凡社124p)で「言は神に誓って祈る言葉をいう。言の下部の祝禱の器を示す さい の中に、神の応答を示す一を加えた形。神はその音を以って神の訪れを示した。」と記しています。「音」という字は、「祈りに対する神からの返事」というのです。

image011

image013

小学生向けに書かれた『白川静文字学に学ぶ 漢字なりたちブック』(1年生55p太郎次郎社エディタス)では「音は(神さまへ)の誓いに、神さまがこたえたしるしのあるかたち」とあります。

『字通』に「音」の説明に「言」の説明から始まっていますので、「言」について。『字通』(578p)には「神にちかうことばをいう」とあり、『漢字なりたちブック』(2年生51p)には「神さまとの約束を破ったら、針で、刑罰を受けてもかまわない」と言って誓う言葉、「嘘ついたら、針千本飲ます」ということ」としています。

image015

image017

現代は余りに多くの「音」に囲まれていて、「空気の振動」程度に思っていましたが、甲骨文字などを産み出した殷,周の時代、今から3000年余り前、笙が創られた時代の人々は、「音」を「神様からの答え」として聴いていたことになります。
「音」は「神様からの伝言」と考えると「笙は女媧という神様が創り出した」という言い伝えにとても説得力があり、納得するのです。
では、「楽」について。『字通』(218p)では「ふり太皷。これを楽器台におく形とするが、全体が手鈴の形である。古代のシャーマンは鈴を鳴らせて神をよび、神を楽しませ」とあります。

image019

image021

『漢字なりたちブック』(2年生31p)
「音」も「楽」も神様と密接に結びついている言葉だったのですね。
「楽」の白とその左右はすず(鈴)の形と甲骨文字や金文にあります。(『字通』218p)

昔の人が金属ですず(鈴)を作るには高度の技術が必要だろうと漠然と思っていたのですが、ヨシに高師小僧という褐鉄鉱が作られることを知り調べていくと、高師小僧など「団塊の内部は浸透した地下水で溶解し、振るとチャラチャラ音の発するものができる」(『古代の鉄と神々』真弓常忠 ちくも学芸文庫 67p)というのです。これを鈴石といってヨシから音の出るすず(鈴)もとれたのでした。

葦牙が神となる理由として、褐鉄鉱を産み出すだけでなく、音の出るすず(鈴)も生み出したことも挙げられそうです。

image023

木津川 御幸橋近くから採取された褐鉄鉱。ヨシのまわりに褐鉄鉱の塊が作られ、ヨシは腐るので中心は空洞です。形はいろいろで、こぶし大の団塊もできるようです。

次回は、ヨシ原から眺める石清水八幡宮についてです。篳篥に近づいていきます。

▼────────────────

[5]『ヨシ原通信』バックナンバー

『ヨシ原通信』を拡散していただけるとありがたいです。
『ヨシ原通信』のバックナンバーは、下記より読むことが出来ます。
http://gagaku-kyougikai.com/?p=684

▼────────────────

[6] 寄付のお願い

「つる草抜き」の活動を続けていくための寄付をお願いしています。
どうぞよろしくお願いいたします。

寄付振込先
●郵便局は
郵便振込用紙に「ヨシへ寄付」と記入頂き
[口座番号]00140‐5‐614032
[加入者名]雅楽協議会

●銀行は
三井住友銀行 田無支店
普通 4012320
雅楽協議会 鈴木治夫

▼────────────────

[7] 問合せ先・連絡先

メール gagakudayori@yahoo.co.jp
℡042-451-8898 ℡090-1538-1693
雅楽協議会 http://gagaku-kyougikai.com

発行 雅楽協議会 ヨシ対策室事務局 担当 鈴木治夫

▼────────────────

カテゴリー: ヨシ原通信 パーマリンク