『ヨシ原通信』No.306 2024年6月2日(日)

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『ヨシ原通信』No.306 2024年6月2日(日)

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[1] 明日(6月3日)から第5クール
[2]「つる草抜き」を考える-➃ 水ヨシと陸ヨシ
[3]「つる草抜き」今後の日程
[4]『篳篥用ヨシの再生へ』活動記録 冊子発行
[5] 篳篥の蘆舌用ヨシの購入について
[6] 寄付のお願い
[7]『ヨシ原通信』バックナンバー
[8] 問合せ先

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[1] 明日(6月3日)から第5クール

「つる草抜き」も第5クールを迎えます。
これから夏に向かってヨシも成長していく時期です。
光を存分に浴びられ光合成が盛んになれるよう「つる草抜き」を進めたいと思います。
ヨシ原でお待ちしています。

朝9時から夕方4時まで
受付は「つる草抜き」現地

暑くなりそうですので、熱中症に気をつけて、水分の補給など注意しましょう。
(熱中症の保険にも入っています)

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「つる草抜き」エリアのヨシ 昨年(2023年)6月8日 ヨシは3m以上

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[2]「つる草抜き」を考える-➃

「水ヨシ」と「陸ヨシ」(※1)
篳篥用ヨシは「陸ヨシ」

「つる草抜き」を考える4回目です。
今回は水ヨシと陸ヨシ、篳篥用ヨシについて考えます。

篳篥の蘆舌に使用するヨシは「陸ヨシ」と言って、水辺に生えるヨシではなく、水辺から離れたところに生えるヨシである、ということはいろいろな所で言われるようになりました。
このように言われるようになったのは、つい最近の事です。

10年前、2014年7月9日 読売新聞は「ヨシの生態に詳しい布谷知夫・三重県立博物館長(植物生態学)は「ヨシ原の面積を広げることと、篳篥用のヨシを守ることは相いれない。別にエリアを定めて篳篥用に適した環境を整備するなど、次の手を打たないと先細りは明らかだ」と懸念を示している。」と掲載しました。

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「ヨシ原の面積を広げることと、篳篥用ヨシを広げることは相いれない」と布谷知夫・三重県立博物館館長 2014年7月9日 読売新聞

ここには「陸ヨシ」「水ヨシ」については書かれていませんが、布谷知夫氏も委員として加わっている「新名神高速道路 鵜殿ヨシ原の環境保全に関する検討会」(※2)の中で「陸域ヨシ」「水域ヨシ」として検討されています。

「篳篥用ヨシは一般のヨシと分けて整備する必要がある」と今までの「ヨシを増やせば篳篥用のヨシも増えていく」という考え方が間違っていることを指摘しました。

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布谷知夫・三重県立博物館館長
2013年12月12日 第3回検討会にて 写真 鈴木治夫

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第3回検討会 会議 2013年12月12日 高槻市民会館 写真 鈴木

正面奥のテーブルが地元(上牧実行組合、鵜殿のヨシ原保存会)、その奥壁際は傍聴の方々。
手前右が委員の方々 右奥のテーブルがNEXCOの方々

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第3回検討会 会議 2013年12月12日 高槻市民会館 写真 鈴木

正面に「新名神高速道路 鵜殿ヨシ原の環境保全に関する検討会」の看板
右テーブル 委員の方々、左テーブル 地元(上牧実行組合・鵜殿のヨシ原保存会)
奥テーブル NEXCOの方々

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布谷知夫・三重県立博物館館長(左)と小山弘道・鵜殿ヨシ原研究所所長(右)
第9回検討会にて 2017年5月17日 新大阪丸ビル 写真 鈴木

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第9回検討会 会議 2017年5月17日 新大阪丸ビル 写真 鈴木

(※1)「水ヨシ」と「陸ヨシ」

○「検討会」(※2)では「水ヨシ」「陸ヨシ」ではなく、「陸域」「水域」という言葉を使用しており「水ヨシ」「陸ヨシ」の言葉は使用していません。通称として「水ヨシ」「陸ヨシ」としています。

検討会では

「陸域」とは「・導水時に冠水しない」エリア

「水域」とは「・導水時に冠水する」エリア

として使用されています

(NEXCOの第5回検討会の資料 2014年12月5日に配布された資料2-⓵p4

https://corp.w-nexco.co.jp/newly/h26/1205/pdfs/2-01.pdf

(NEXCOの第6回検討会の資料 2015年7月17日に配布された資料2-⓵p3、4、19

https://corp.w-nexco.co.jp/newly/h27/0717b/pdfs/2_1.pdf

○「蘆舌用葦材の物性Ⅰ」小幡谷英一 筑波大学生命環境系

この論文では、「「水域」で育つ葦 導水路の周辺は、導水時に水に浸ります。」

「「陸域」 河川敷には、水に浸らない乾いた土地もあります。このような「陸域」では」

と「水域」「陸域」を使用しています。

http://gagaku-kyougikai.com/?page_id=555

○『鵜殿ヨシ原の篳篥ヨシの文化的価値と伝統知の保全及び篳篥ヨシ再生に関わる技術的条件』柴田知己 2022年 では「水ヨシエリア」「篳篥エリア」という言葉を使用、但し熟練採取者の言葉としては「陸ヨシ」の言葉を使用しています。

https://catalog.lib.kyushu-u.ac.jp/opac_detail_md/?reqCode=frombib&lang=0&amode=MD823&opkey=b168054036072823&bibid=6787620&start=

○琵琶湖のヨシでは

「水ヨシ 水位 数10㎝までの水中の群落

陸ヨシ 地下水位1mまでの陸上の群落

(中略)「陸ヨシ」群落では地表の乾き具合(地下水位の深さ)に応じて様々な湿生植物や中生植物との競合が生じる」とし「水ヨシ・陸ヨシ」について定義しています。

『関西自然保護機構会報』21巻2号 1999年12月発行

「ヨシ原の火入れがオオヨシキリの社会構造に及ぼす影響」西海功ほか p179

◎「陸ヨシ」「水ヨシ」の言葉は、琵琶湖のヨシで1999年には使用されております。琵琶湖のヨシの研究から使われ始めた言葉かもしれません。上牧・鵜殿ヨシ原では篳篥用のヨシの生育エリアとして通称「陸ヨシ」という言葉を使用しています。

(※2) 「検討会」 上牧・鵜殿ヨシ原を横断する新名神高速道路の建設が2012年4月6日に閣議決定しました。事業許可を受けた西日本高速道路株式会社関西支社(NEXCO西日本)は、「ヨシ原に極力影響を及ぼさないよう万全な対策を講じる」(設立趣意書より)為に「新名神高速道路 鵜殿ヨシ原の環境保全に関する検討会」設けました。この検討会を略して「検討会」と記します。

「検討会」については、NEXCO西日本のホームページ「新名神高速道路 鵜殿ヨシ原の環境保全に関する検討会」の目的・背景に、設立趣旨、委員名、開催日時など 掲載されています。

https://corp.w-nexco.co.jp/activity/branch/kansai/shinmeishin/eco/eco01/

「検討会」は第1回が2013年1月10日に開催されてから、2017年5月17日まで9回開催されました。

「検討会」の内容が下記アドレスに「鵜殿ヨシ原における植物調査に関する報告書」として冊子にまとめられています。

https://corp.w-nexco.co.jp/activity/branch/kansai/shinmeishin/eco/eco01/pdf/h2910_main.pdf

(つづく)

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[3]「つる草抜き」2024年 日程

明日6月3日から第5クールになります。ご参加をお待ちしています。

第5クール 6月3(月) /4(火) /5(水)  ※1

第6クール 6月22(土) /23(日) /24(月) (夏時間) ※2
第7クール 7月8(月) /9(火) /10(水) (夏時間) ※2
第8クール 7月22(月) /23(火) (夏時間) ※2
第9クール 8月3(土) /4(日) (夏時間) ※2
第10クール 8月20(火)/ 8/21(水)   (夏時間) ※2

※1の 第1クールから第5クールは、9時から午後4時です。
※2の 第6クールから第10クールは、夏時間8時から11時です。トイレは使用できません。
※雨天の場合は中止です。また天気予報で、「雨の予報」の場合、中止になる可能性が高いです。
「中止」の場合はこの『ヨシ原通信』などでお知らせします。

●「つる草抜き」は朝9時から夕方4時までですが、受付専用の事務員がいるわけではありませんので、ボランティアの方の受付は、基本的に9時と1時とになります。ご了承ください。
(問合せ先は 090-1538-1693 雅楽協議会・鈴木となります)

●持物 鎌などはありますが、手袋(軍手)や帽子、飲み物・食べ物などは持参ください。
●ボランティア保険(障害保険 ケガや熱中症)に今年も入っています。氏名の記載をお願いしています。 保険料はこれまで同様に雅楽協議会が支払います。
●トイレはNEXCO西日本の工事場の男女別のトイレを今年も借用します。
(6月中旬からは、台風などの影響を避けるため工事関連は全て撤去されますので、トイレも無くなります)

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[4] つる草抜き 活動記録 『篳篥用ヨシの再生へ ~上牧・鵜殿ヨシ原~』冊子発行

「つる草抜き」は3年目になります。なぜ篳篥用ヨシが悪くなっていったのかなど疑問に思うこと、つる草抜きの意義や活動などを記録しました。
鈴木治夫 著 発行: 2024年3月 雅楽協議会 サイズ:A4 頁数:54頁 定価 1,100円(税込)

問合せ・購入 https://musashino-gakki.com/product/?p=100701
武蔵野楽器 ℡03-5902-7281

上記アドレスより申し込めます。

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[5] 篳篥の蘆舌用ヨシの購入について

「つる草抜き」エリアの篳篥蘆舌用のヨシを購入希望の方は下記へご連絡ください。
連絡先・問合せ先 メールアドレス
kimura7633@gmail.com (上牧実行組合 木村和男氏)

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[6] 寄付のお願い

篳篥用ヨシ再生(つる草抜き)への寄付振込先

●郵便局は
郵便振込用紙に「ヨシへ寄付」と記入頂き
[口座番号]00140‐5‐614032
[加入者名]雅楽協議会

●銀行は
三井住友銀行 田無支店
普通 4012320
雅楽協議会 鈴木治夫

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[7]『ヨシ原通信』バックナンバー

『ヨシ原通信』バックナンバー 検索 (各アドレス(青ローマ字)をCtrlを押しながらクリック)

№1~№130 (2022年2月10日) ~(2022年12月31日)
http://gagaku-kyougikai.com/?p=684

№131~№269 (2023年1月8日)~(2023年12月13日)
http://gagaku-kyougikai.com/?p=2139

№270~最新号 (2024年1月11日)~
http://gagaku-kyougikai.com/?p=3875

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[8] 問合せ先・連絡先

メール gagakudayori@yahoo.co.jp
℡042-451-8898 ℡090-1538-1693
雅楽協議会 http://gagaku-kyougikai.com
発行 雅楽協議会 ヨシ対策室 担当 鈴木治夫

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篳篥を吹く源博雅(『陰陽師 玉手匣 2』より)ⓒReiko Okano

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