『ヨシ原通信』No.147 2023年3月7日(火)

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『ヨシ原通信』No.147 2023年3月7日(火)
発行 雅楽協議会 ヨシ対策室(担当 鈴木治夫)

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篳篥を吹く源博雅(『陰陽師 玉手匣 2』より)
ⓒReiko Okano
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[1]「鵜殿」の名前 『楽家録』『雅遊漫録』
[2]「つる草抜き」準備の集まり 3月13日(月) 午後1時30分 上牧公民館
[3]「ヨシ原焼き」3月12日(日)午前9時~(予定)
[4]「東儀秀樹ミニコンサート」堤防下(NEXCO作業場)に駐車できます。 但し 申込要 申込順
[5]「つる草抜き」2年目
[6] 寄付のお願い
[7]『ヨシ原通信』バックナンバー
[8] 問合せ先

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[1]「鵜殿」の名前

前回(146号)までは、『古事記』『土佐日記』『大和物語』『平家物語』「烏丸光廣の和歌」まで書きました。(烏丸光廣の和歌の頭の文字が切れていました。訂正します。「世の中ようと野に蘆のよしとても ほに出りけりな秋の夕暮」です。)

ここまでが鎌倉時代、江戸時代初期までに書かれたものです。

これから江戸時代以降に書かれたものを年代順に書いて行きます。
取り上げる予定の書物などは以下です。

『楽家録』安倍季尚 1690年、

『雅遊漫録』1763年、

『摂津名所図会』1798年、

『本草綱目啓蒙(ほんぞうこうもくけいもう)』小野蘭山1803年、

『楽所日記』東儀文均 1855年、

『淀川両岸一覧』1861年、

明治時代になって「鵜殿の芦刈の願い」宮内庁(1871年)、

『大阪府全志』井上正雄 1922年、

『牧野富太郎選集 5』「篳篥の舌を作る鵜殿のヨシ」牧野富太郎 1948年です。

今までいろいろな所で取り上げられているものもありますが、記録として年代順に記しておきたいというのと、今回調べてみて、鵜殿と篳篥について記されていながら紹介されていなかった『本草綱目啓蒙』小野蘭山1803年、と植物学者の父と呼ばれている牧野富太郎の「篳篥の舌を作る鵜殿のヨシ」を紹介しておきたいと思います。特に牧野富太郎は篳篥用に蘆を刈り取っていた人の名前も挙げて解説していのます。

では『楽家録』から

篳篥と鵜殿の蘆と結びつけて書かれた初めての書物が『楽家録』です。

『楽家録』は漢文で読みづらいので私流の現代語に訳してみます。『楽家録』の現代語訳は出版されていないのです。

(『楽家録』の「三管総論」の部分は『雅楽だより』に現代語訳を掲載しています。

『楽家録』の鳳笙の部分は、私の現代語訳と解説付きで『『楽家録』巻之十 鳳笙 現代語訳』として発行し武蔵野楽器で発売中です)

『楽家録』、巻十一 篳篥 第十 蘆舌制法 の項に次のように書いてあります。(現代語訳)

「篳篥 蘆舌の製法 篳篥の蘆舌は、切ってから積年[長年]経ったものを用いる。柔らかい蘆は使わない。古来[古くから]摂津国鵜殿の地に生える蘆を用いる。これは堅実[堅い]のが生えるからです。寒中[寒の入りから寒が明けるまでの間。だいたい1月頃]に切って竈の上に掛けて枯らす。大抵4~5年かけて能く枯らす。但し蘆を切ってから雨露に逢うのは悪い。又土中で湿り気のある所は嫌う故に下の2~3節を去って[除いて]蘆舌に用いる。又或人は蘆舌の長さを測って切って枯らす。季長日記には「蘆は常に朝日の当たる所に掛けて枯らす」と書いてある。[以下略]」

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 (『楽家録』日本古典全集 P363 )

 『楽家録』は京都方の篳篥の楽家(がっけ)【楽家は江戸時代まで京都の大内楽所、奈良の南都楽所、大阪の天王寺楽所と三方に分かれていました】の安倍季尚(あべすえひさ)により、元禄3(1690)年に書きあげられました。全部で五十巻あり、現在もなお雅楽の大百科事典で雅楽を知るためにはとても大切にされています。

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『楽家録』の次に篳篥と鵜殿について記されているのが『雅遊漫録』大枝流芳(おおえだりゅうほう)著(宝暦13 (1763)年)です。
詳しくは 『ヨシ原通信』№128(2022.12.23)に書きましたのでご覧ください。

『ヨシ原通信』No.128 2022年12月23日(金) | 雅楽協議会 (gagaku-kyougikai.com)

上牧・鵜殿ヨシ原の堤防の上に明8年(1875)に始まる淀川改修100周年を記念して1975年に建てられた石碑が建っています。
その碑の中に篳篥に関連して『雅遊漫録』からの引用が刻まれています。

image007 (写真 上牧・鵜殿ヨシ原の堤防に建立の石碑など
左側の四角い石碑の4行目から9行目に刻まれている)

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(写真 篳篥について刻まれている碑 )

この四角の石碑の4行目から9行目には

「古書雅遊漫録にも、「簧(シタ)はよしにて作る津の國鵜戸野村の蘆を重寶とす、その外のものは早く損じ音もあしし古く久しく枯らして作る 家々にいろいろの習あり」とある。」と刻まれています。

『雅遊漫録』は和綴じ7冊で江戸時代、宝暦13年(1763年)香道家で煎茶家の大枝流芳(おおえだりゅうほう)が出版したもので、書や香の道具、織物の図柄から楽器の紹介、そして紐の結び方まで日常の百科事典のような書物で楽器の項では、篳篥の他 笙や笛、琴、箏、琵琶、三鼓(太皷、鞨皷、鉦皷)、洞笙(尺八)の解説まで書いています。江戸時代に雅楽、特に篳篥がどのように見られていたのかを知るには良い参考書となりそうです。

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(『雅遊漫録』巻5 国立国会図書館 アーカイブより)

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[2]「つる草抜き」の準備の集まり

3月13日(月) 午後1時30分 上牧公民館にて
(国道171号線 上牧1丁目交差点を淀川方向左側)

ヨシ再生への2年目の取り組みが始まります。
今年は「ヨシ原焼き」が順延しています。心配ですね。
昨年の経験を踏まえて今年の「つる草抜き」の準備をしていきます。
多くの皆様のお知恵を寄せていただけますとありがたいです。お待ちしています。

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[3]「ヨシ原焼き」3月12日(日)午前9時~(予定)

2月19日、2月26日と中止となり残念ですが、なんとか3月12日(日)が雨にならないことを祈るばかりです。
「つる草抜き」のチラシを配布する予定です。
ご協力いただける方よろしくお願いいたします。

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[4]「東儀秀樹ミニコンサート」(3月26日)堤防下(NEXCO作業場)に駐車できます。

車の方は申込要 申込順

3月26日(東儀秀樹ミニコンサートの日のみ)、堤防下(NEXCO作業場)に駐車出来ます。
但し駐車台数に制限がありますので、駐車希望のメールを送っていただき、先着順とします。
駐車の時間は朝8時半より夕方(東儀秀樹ミニコンサートを聴いての帰りまで)です。

メール申込先(gagakudayori@yahoo.co.jp)。
名前、車種、車のナンバーを連絡ください。駐車の可否の連絡をさせていただきます。
(自転車はヨシ原の中の管理道路に停められます。申し込みは不要です)

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[5]「つる草抜き」2年目

★「つる草抜き」予定
3月25日(土) 午前9時より「つる草抜き」午後1時 ヨシ笛演奏(ヨシ原にて)

26日(日) 午前9時より「つる草抜き」
午後2時半「東儀秀樹ミニコンサート」(雨天決行)本澄寺 無料

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27日(月) 午前9時~午後4時 「つる草抜き」(以下同じ)
28日(火) 29日(水) 30日(木) 31日(金) 4月1日(土)

4月15日(土) ~ 4月22日(土) 午前9時~午後4時

5月7日(日) ~ 5月14日(日)  午前9時~午後4時

軍手、飲食などお持ちください。ボランティアの方は時間自由です。
雨の場合は「つる草抜き」はお休みとなります。

☆詳細は「ヨシ原通信」また雅楽協議会ホームページにてお知らせします。
車の方はご相談ください。

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[6] 寄付のお願い

3月5日現在の寄付は120万1千円です、
(73人 2団体、助成金1団体含)
(アクト・ビヨンド・トラスト様よりの助成金30万円が含まれています。助成金ありがとうございます)

「つる草抜き」の活動を続けていくための寄付をお願いしています。目標額600万円。どうぞよろしくお願いいたします。

寄付振込先

●郵便局は
郵便振込用紙に「ヨシへ寄付」と記入頂き
[口座番号]00140‐5‐614032
[加入者名]雅楽協議会

●銀行は

三井住友銀行 田無支店
普通 4012320
雅楽協議会 鈴木治夫

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[7]『ヨシ原通信』バックナンバー

『ヨシ原通信』を拡散していただけるとありがたいです。
『ヨシ原通信』のバックナンバーは、下記より読むことが出来ます。
http://gagaku-kyougikai.com/?p=2139

11月18日(金)の「まとめの会」に配布しました資料などは下記のアドレスから見ることが出来ます。
https://drive.google.com/drive/folders/1M4MpYYxGF_GAdzrpjayvbI6BEw6zO8YX

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[8] 問合せ先・連絡先

メール gagakudayori@yahoo.co.jp
℡042-451-8898 ℡090-1538-1693
雅楽協議会 http://gagaku-kyougikai.com

発行 雅楽協議会 ヨシ対策室事務局 担当 鈴木治夫

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