『ヨシ原通信』No.257 2023年10月1日(日)

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『ヨシ原通信』No.257 2023年10月1日(日)
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[1] 振り返り―⑦
[2] 篳篥の蘆舌用ヨシの購入について
[3]『ヨシ原通信』バックナンバー
[4] 問合せ先

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[1] 振り返りー⑦

★エリアの杭打ち・ロープ張り 高槻市農林緑政課

「つる草抜き」エリアの杭を打ち、ロープを張っていただいているのは、上牧実行組合の木村和男さんと高槻市街にぎわい部農林緑政課の皆さんです。「つる草抜き」を始めるにはエリアを決めなければなりません。どのエリアで「つる草抜き」を行うのかというとても大切な作業です。「ヨシ原焼き」の後、この作業を行っていただいています。

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(写真 位置と距離を測り、杭を打ち、ロープを張っていく。高槻市の職員の方々など2022.2.25)

ヨシの草丈、茎径の調査
TKK自然観察会と高槻市街にぎわい部農林緑政課でヨシの草丈と茎径を調査していただいています。

調査の目的は「雅楽協議会が実施するつる草抜き作業が、ヨシの生育環境にどのような影響を与えているかを把握し、ヨシ原全体の再生につながる管理の在り方を模索するために調査を実施する」というもので昨年は100本のヨシを調査し、今年は150本のヨシを調査しています。「雅楽協議会が実施するつる草抜き作業」を調査の目的と明記されて行われています。この調査結果から見えてくるものや、学んでおきたいことなどがたくさんあります。

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ここでは調査されていることのみ記しておきます。

(調査結果は、『ヨシ原通信』
№125 2022.11.22 http://gagaku-kyougikai.com/?p=2068/
№225 2023.8.5 http://gagaku-kyougikai.com/?p=3309/
に掲載していますので是非ご覧ください。)

★「ヨシ原焼き」は「篳篥の蘆舌のヨシ原を保全」と「実施要項」に明記

ヨシ原焼きは、高槻市にぎわい部農林緑政課が事務局(「鵜殿のヨシ原焼き実施対策連絡会会則」より)となって関係機関と連絡を取られながら行っていただいています。

「ヨシ原焼き」の実施には「ヨシ原焼き 実施要項」というものがあるのを一昨年知りました。
その「実施要項」の中に「篳篥の蘆舌の原料生産地であるヨシ原を保全」と明記され、「鵜殿のヨシ原焼き」は「無形文化遺産の雅楽を支える雅楽器篳篥(ひちりき)の蘆舌(ろぜつ)の原料生産地であるヨシ原を保全することで、淀川の自然・文化・伝統を守り」と書かれています。

雅楽の関係者にとってはとてもありがたい文言が「ヨシ原焼き 実施要項」に入っていることを嬉しく思います。
(『ヨシ原通信』№7 2022.3.14  http://gagaku-kyougikai.com/?p=750 )

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(写真 今年2023年3月12日に行われた「ヨシ原焼き」消防自動車を始め、点火する人、見守る人、交通規制をする警察の人、関連自治体の方々、もちろん国土交通省の方など多岐にわたる関連団体の方々により行われています)

★高槻市は38年前の1985年に『「鵜殿のヨシ原」保全対策調査研究報告書 –都市における自然の再生-』(発行 高槻市 昭和60年2月)を発行されました。
(高槻市の許可を頂いていますので、下記をクリックしダウンロードしていただくと読むことが出来ます。高槻市立図書館にもあります)

https://drive.google.com/drive/my-drive

38年前の『報告書』ですが読み返して見るととても大事なことが書かれています。

「はじめに」は昨日書かれたのではないか思うぐらいです。「河川敷では乾燥し陸地の植物の侵入が急速に進んできている。その代表的な植物がセイタカアワダチソウであり、ツル植物のカナムグラである。セイヨウカラシナも春の風物の一つに数えられるほどになっている。とくにカナムグラがヨシに巻きつき、押し倒して延びていく有様はすざましいものがあり、このまま放置すれば「鵜殿のヨシ原」がほとんど消滅するのは火を見るより明らかである」(p1)と。38年前すでに「消滅するのは火を見るより明らか」と書かれています。逆に言えば38年もヨシは持ちこたえ、2021年ついに力尽きたことになります。ヨシはなんと生命力の強い植物なるのかと驚きます。

また1979年(44年前)の「ヨシ回復の実験について」の中に「カナムグラ、その他のつる植物についてはヨシ原がしばしば冠水した時代でも、人手による除去が行われていたという話がある。それは、ヨシが「よしず」、その他に使用され、経済的に価値を持っていた頃のことであり、その価値がほとんど失われた今では、ヨシを保護育成する意味がないという意見がある。」(p18)と。

経済的な価値を持っている頃は、「人手によるカナムグラの除去」が行われていたが、経済的な価値が失われたら「ヨシを保護育成する意味がない」と。このような今にも通じる意見が多くあることも良く分かります。

報告書の最後、「あとがき」は高槻市環境保全課の署名入りで書かれています。「何らかの対策を講じない限り このままではヨシ群落が全滅してしまうことは確実であり、それは鵜殿の「自然」の消失である。何もしなければ必然的に消滅してしまうのが都市における身近なありふれた緑や自然の運命であって、もし意識して保全を考えるならば積極的な人為による維持管理が必要なのである。」(p48)と結んでいます。

38年前の予言は当たっていました。

(1981年に発行されました『自然観察会ニュース 鵜殿のヨシ原』(発行 高槻公害問題研究会)もとても参考になります。40年前のヨシ原の状況、そして課題を乗り越えて「つる草抜き」に取り組む姿など書かれています。是非お読みください。下記より読めます。

https://drive.google.com/drive/folders/1M4MpYYxGF_GAdzrpjayvbI6BEw6zO8YX

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(写真 40年前に「つる草抜き」を行いヨシ再生の道筋を切り開いた高槻公害問題研究会(TKK自然観察会)の田口圭介さん。
田口さんの冊子から「ヨシ再生」には「つる草抜き」が有効で実現可能なやり方であることを知り、この方法を学び「篳篥用ヨシの再生」に取り組み始めました。)

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[2] 篳篥の蘆舌用ヨシの購入について

篳篥の蘆舌用のヨシは、昨年採取できた本数より多くのヨシを採取できるのではないかと推測しています。
そこで「つる草抜き」のエリアで成長した蘆舌用のヨシを購入希望の方は下記メールアドレスへ希望本数など必要事項をご連絡ください。
発送は早くても来年3月以降になるのではないかと思います。

連絡先・問合せ先 メールアドレス
kimura7633@gmail.com
(メール宛先 上牧実行組合 会長 木村和男氏)

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[3]『ヨシ原通信』バックナンバー

『ヨシ原通信』を拡散していただけるとありがたいです。
『ヨシ原通信』のバックナンバーは、下記より読むことが出来ます。
http://gagaku-kyougikai.com/?p=2139

これまでに配布しました資料などは下記のアドレスから見ることがます。
https://drive.google.com/drive/folders/1M4MpYYxGF_GAdzrpjayvbI6BEw6zO8YX

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[4] 問合せ先・連絡先

メール gagakudayori@yahoo.co.jp
℡042-451-8898 ℡090-1538-1693
雅楽協議会 http://gagaku-kyougikai.com
発行 雅楽協議会 ヨシ対策室 担当 鈴木治夫

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篳篥を吹く源博雅(『陰陽師 玉手匣 2』より)ⓒReiko Okano

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