『ヨシ原通信』No.331 2024年10月15日(火)

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『ヨシ原通信』No.331  2024年10月15日(火)
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[1] ヨシの活用を広げるために
ヨシを考える シンポジュウム 報告
[2]『篳篥用ヨシの再生へ』活動記録 冊子発行
[3] 篳篥の蘆舌用ヨシの購入について
[4]『ヨシ原通信』バックナンバー
[5] 問合せ先

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[1] ヨシの活用を広げるために

ヨシを考える シンポジュウムに全国から参集

ヨシのシンポジュウムが10月12日(土) 上牧・鵜殿ヨシ原から淀川を渡った枚方市総合文化芸術センター・イベントホールに大阪近郊の方をはじめ、北海道や東京、金沢、岡山など全国から100名余りが参加され開催されました。

芸術センターの入り口には東儀秀樹さんの10月19日(土)のコンサートのポスターが大きく張られていました。

篳篥の演奏 「ヨシ原焼き」へのご理解を

9月には高槻市で宮内庁楽部による雅楽公演が開催されました。10月19日には枚方市で東儀秀樹さんの公演が行われます。これらの公演を通して篳篥のヨシの地元の皆さまへのさらなるご理解とご協力を願うばかりです。

というのも上牧・鵜殿ヨシ原で2月に行われる「ヨシ原焼き」の時、ヨシが燃え上がった煙が淀川を越えて枚方市にも流れて行きます。住民の方々から「洗濯物が汚れた」などの苦情が寄せられるときもあるようです。「ヨシ原焼き」はなるべく煙が出ないようにヨシをくだいてから燃やすなど対策を立て「ヨシ原焼き」を実施されています。

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ヨシを守り育てていくためには「ヨシ原焼き」が絶対に必要です。年に1回、午前中だけですので、「ヨシ原焼き」の日の午前中は洗濯物を室内に干すなど「ヨシ原焼き」に対するご理解が深まることを願っています。

第一部 シンポジュウム

司会はヨシオープンイノベーション協議会のアドバイザーでもある笹井良隆氏により進められました。

うどののヨシとその再生に向けて
小山弘道(鵜殿ヨシ原研究所所長 植物生態学)

小山先生は、1975年から鵜殿ヨシ原の調査、研究、保全活動を進められ、毎日のように交野市の自宅から通われていました。

私(鈴木)が初めてお会いしたのは2005年、篳篥の蘆舌のヨシが悪くなってきたと聞いて「雅楽だより」の取材で大阪楽所代表理事の中川英男さんとヨシ原にお伺いし、ヨシのイロハから教えていただき現在に続いています。

小山先生が話された鵜殿ヨシ原の50年の変遷とヨシ再生への取り組みは、小山先生の活動の歴史でもあります。

小山先生の作成されたパンフ『鵜殿を遊ぶ』には鵜殿の歴史や自然が紹介されています。

是非下記アドレスよりご覧ください。

https://udono.jimdofree.com/%E9%B5%9C%E6%AE%BF%E3%81%86%E3%81%A9%E3%81%AE/

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写真 鵜殿ヨシ原の歴史を語られる小山弘道氏 (写真 大倉清教さん)

日本の文化を守るヨシ
鈴木治夫 (雅楽協議会・鳳笙製作)

日本の神話(『古事記』『日本書紀』)には、ヨシの新芽(葦牙・あしかび)は、「神となる」ともあり、ヨシ=葦(アシ)は、『万葉集』、『枕草子』『百人一首』にも多く詠まれ、祇園祭の山車『芦刈山』も「神」として崇められています。

また、なぜヨシの葉の周りにはガラス質のギザギザがあるのか?なぜヨシの稈(茎)は空洞になっているのか?などヨシにまつわる疑問を地球の歴史を紐解きながら説明させていただきました。ヨシはまだ分からないことがたくさんあります。これからもヨシの疑問を探っていければと思います。

なお、私の仕事でもある鳳笙の紹介と演奏、そして深親さんに篳篥を吹いていただき、篳篥の紹介もさせていただきました。

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写真 鈴木治夫(左) 篳篥の演奏の深見さん(右) (写真 塩田さん)

岡山県・児嶋のヨシをジーンズに!
大塚小百合 (㈱MIRAI ACT ジーンズソムリエ)

岡山県の瀬戸内海に面する児嶋湖は世界で2番目に大きい人口湖で、以前は最も水質の悪い人口湖とも言われていたといいます。

この児島湖周辺で刈り取られたヨシでジーンズにされるまでのご苦労話から、新たな素材開発・商品開発を、協業によって進め、ヨシの用途を広げられその活動の意義と今後への希望もお話されました。

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写真 大塚小百合さん 着用されているジーンズはヨシ繊維での作られたジーンズ

(写真 塩田さん、大倉さん)

児嶋胡ハンドブック 発行 岡山県 令和5年 2023年3月

https://www.pref.okayama.jp/uploaded/life/908485_8677102_misc.pdf

★ヨシをよしとする良産計画プロジェクト

奥道 真哉 (NISSIN 、日本新聞インキ(株)執行役員)

「ヨシ繊維製造の良産(量産)化計画」が日本新聞インキ㈱三重県東員町の工場で始まり、「ヨシ繊維を量産できる体制」が整ってきたとのこと。そして「ヨシを資源とする持続可能な事業を創出し、河川やヨシ原の生態系を地域で守る仕組み」の構築を目指していくと力強く話されました。

そして全国のヨシの生育地 北海道・美唄市、宮城県・北上川、山形県・新庄、新潟市、利根川・渡良瀬遊水地、岐阜県・池が原湿原、滋賀県・琵琶湖周辺、京都府・宇治川、大阪府・上牧・鵜殿ヨシ原、岡山県・児嶋湖などの各地でヨシ繊維を製造するプラントを作る計画を発表されました。

ヨシを守っていくためには、篳篥用のヨシを再生するだけではヨシを守っていく事はできません。ヨシの用途を広げていかなければかないません。小山先生も試行錯誤を重ねられヨシの用途の拡大は長年の懸案でもありました。この問題を解決し、大きく前進させる「ヨシをよしとする商品計画」に期待を膨らませます。

ヨシの用途が広がり、ヨシの需要が増えて行けばヨシの保存のみならず、自然と人との結びつきも強まって行くでしょう。今後が期待されます。

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写真 奥道真哉さん (写真 大倉さん)

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全国のヨシの生育地でヨシ繊維の製造プラントが動き始めました。

ヨシを良しとする商品計画
塩田真由美 ㈱アトリエMay 代表取締役

(社団)ヨシオープンイノベーション協議会代表

今回のシンポジュウムを企画され社団法人ヨシオープンイノベーション協議会代表の塩田さんは、小山先生との出会いから、ヨシを使用したヨシ紙・ヨシふきんなどの商品開発、それが全国へと広がりる中で、「モノ作りは人から始まる」と今後の展望が開けてきていることを話されました。

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写真 塩田真由美さん (写真 大倉さん)

シンポジュウムの報告をアトリエMayのブログに掲載しています。下記もご覧ください。

第一回ヨシシンポジウムと交流会のご報告。 | アトリエMayのブログ (jugem.jp)

https://art-may.jugem.jp/?eid=403&fbclid=IwY2xjawF6tE5leHRuA2FlbQIxMQABHQaANgRyd-N8DJaEqQD6IpfUw6uB4jbOtbhrl7f8TOUDUpR43_-PE0bIxA_aem_fL7iTlaDfiYJjjWnp_cNRA

※第2部(上牧実行組合・木村和男さん、篳篥演奏・深親亮介さんなどの報告は次号。

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[2] つる草抜き 活動記録 『篳篥用ヨシの再生へ ~上牧・鵜殿ヨシ原~』冊子発行

篳篥用ヨシが全滅した2021年秋、なんとかヨシを再生できないかと模索した経過や、問題点など、またつる草抜きの意義や活動などを記録しました。写真を多く掲載しました。

鈴木治夫 著 発行:2024年3月 雅楽協議会 サイズ:A4 頁数:54頁
定価 1,100円(税込)

問合せ・購入 https://musashino-gakki.com/product/?p=100701
武蔵野楽器 ℡03-5902-7281
上記アドレスより申し込めます。

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[3] 篳篥の蘆舌用ヨシの購入について

「つる草抜き」エリアの篳篥蘆舌用のヨシを購入希望の方は下記へご連絡ください。
連絡先・問合せ先 メールアドレス
kimura7633@gmail.com (上牧実行組合 木村和男氏)

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[4]『ヨシ原通信』バックナンバー

『ヨシ原通信』バックナンバー

№1~№130 (2022年2月10日) ~(2022年12月31日)
http://gagaku-kyougikai.com/?p=684

№131~№269 (2023年1月8日)~(2023年12月13日)
http://gagaku-kyougikai.com/?p=2139

№270~最新号 (2024年1月11日)~
http://gagaku-kyougikai.com/?p=3875

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[5] 問合せ先・連絡先

メール gagakudayori@yahoo.co.jp
℡042-451-8898 ℡090-1538-1693
雅楽協議会 http://gagaku-kyougikai.com/
発行 雅楽協議会 ヨシ対策室 担当 鈴木治夫

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